着るだけで生体情報計測を可能とする機能素材が、米国で承認されたのは2013年のこと。世界初の「布を活用したナノセンサー技術」により、心拍数や呼吸数、血行動態などを肌から直接キャッチできるようになりました。そしてついに先日、米Nonowear社の臨床試験が始まりました。このIoT(モノのインターネット)肌着を身に付けた心疾患患者から得られた心電図データを、毎日自宅や外出先から病院へ送り、うっ血性心不全や心臓発作が発生する数週間前にその兆候を検知し、症状に先手を打ちます。機械学習のデータアナリティクスをフル活用しながら、伸縮性のある「衣服型バイタルセンサー」で心臓の状態をしっかりモニタリング。心疾患予防・治療の革命です。


以下では、2019年7月22~26日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【ビジネス】【プロダクト/サービス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【ビジネス】

  • ・衣類型バイタルセンサーで、心臓疾患を常時モニタリング
  •  ナノテクノロジーを活用した遠隔モニタリング・プラットフォームを提供する米Nanowear社が、心臓疾患の管理・診断のアラート連携を検証する研究「NanoSENSE」を開始した。世界初の「布を活用したナノセンサー技術」は、既に米食品医薬品局(FDA)の承認済。今回、この技術を搭載した「SimpleSENSE」は、モニタリングできる肌着と閉回路マシンラーニング・プラットフォームを活用し、患者の心音・脈拍・鼓動のアルゴリズムを計測し、マルチチャンネル型の心電図で心拍数、呼吸数、血行、活動量、姿勢から心臓の状態を総合的に評価できるシステムだ。医師はアルゴリズムの数値を遠隔モニタリングすることで、悪い兆候にいち早く気づき、発作が起きる数週間前に予測できる。心臓発作は、約4人に1人の割合で再発の可能性があるが、一度回復した後も自宅で心臓のモニタリングを継続することで、緊急事態の予防につながる。現在、インプラント機器を使った心臓のモニタリングは既に実用化が進んでいるが、今回の研究で「SimpleSENSE」の衣服型バイタルセンサーの効果が実証されれば、患者の負担を減らし、より安い費用で、長期的なモニタリングが可能となる。今回の検証試験では、500人の患者のデータを収集する予定であり、効果が期待される。
    Nanowear Announces Clinical Launch of NanoSENSE, a Heart Failure Management and Alert Diagnostic Validation Study

  • ・皮膚の健康チェックで、誰よりも早く皮膚がんを検知して完治させよう
  •  米MoleSafe USA社は、ニューヨークにSKIN SURVEILLANCE PROGRAM CENTER(皮膚の健康チェックセンター)を設立し、世界で最も詳細な皮膚の健康チェックを実施することで皮膚がんとメラノーマ(悪性黒色腫)の早期発見につなげる狙い。今、米国人の5人に1人が皮膚がんを発症するといわれている。メラノーマは、高齢になるほどリスクが高まるものの、早期に発見すれば完全に治せる病気である。早期発見は、医療費の削減にもつながる。MoleSafeが提供する全身撮影技術、臨床・ダーモスコピー(皮膚拡大鏡)画像で、ほくろや皮膚の病変を観察すると、それが良性の病変なのか、それとも生体検査を要する症状かを精密に判断できる。一人でも多くの人に皮膚の健康チェックへ参加するよう呼びかけている。
    MoleSafe Opening Its Newest Skin Surveillance Program Center in New York City

  • ・大人気の米スポーツジム「Planet Fitness」のきめ細やかなサービスとは
  •  米スポーツジムPlanet Fitnessのサービスがすごい。最新のカーディオマシン(有酸素系の運動器具)や筋肉増強器具、ロッカールーム・シャワー設備、テレビ、水素マッサージ・ラウンジ、マッサージ・チェア、日焼けマシンなどがそろい、気軽に運動が楽しめる。「Judgement Free Zone」メンバーになると、月額たったの10ドル(約1080円)で施設が一部利用できる。さらに、メンバーはインストラクターによる小グループトレーニング、また、頑張った自分へのご褒美とてして第一月曜日には無料ピザ、第二火曜日には無料ベーグルがプレゼントされるという。もう1ランク上の月額21.99ドル(約2400円)の「PF Black Card」メンバーになると、追加料金なしで毎日友人をゲストとして招待でき、さらにPlanet Fitnessの店舗1800カ所をどこでも使用できる。今回、ミシシッピ州のピカユーン市にも新店舗が設立されることになり、ますます多くの人が手軽に運動を楽しみながら健康を目指せそうだ。
    Planet Fitness to open "Judgement Free" Club in Picayune

  • ・シニア向け医療ビジネスチャンス到来
  •  米国では、毎日1万人が65歳を迎え、その後4人に1人は転倒などのケガで緊急治療を受けているそうだ。高齢化社会において、シニア向け医療サービスの拡大が求められている。個別化ケアサービスを提供する米A Better Solution in Homecare社のCEOスミス・プラット氏は、先日開催されたSCORE Program(1964年に設立された米国最大の、ビジネスメンターの専門家・ボランティアネットワーク)において、シニア向け医療ビジネスを活性化させるためのオーナーシップの機会について講義を行った。プラット氏は、「シニア向けの医療サービスが広がることで、人々の生活がより豊かになる」と話し、フランチャイズオーナーとしてビジネスに参入すれば、専門家のサポートを受けながら、安心して事業運営ができる点を説明した。同社が推進するフランチャイズ費用は4万8000ドル(約520万円)で、アリゾナ州とカルフォルニア州において今後事業拡大を進めるそうだ。
    A Better Solution Franchise System CEO Educates Mentors on the Senior Care Industry

  • ・スキーロッジのようなスタイリッシュな高齢者ケアホームでメモリーケア(物忘れ改善)
  •  大都市シアトル近郊の自然豊かな高級住宅街として知られるマーサーアイランド。ここに、高齢者サービスとメモリーケアを提供する米Aegis Living社が24時間体制の新たな高齢者向けマンションを設立した。30km2の広大な敷地に足を踏み入れると、リゾート地を思わせる10m幅の噴水と大きな暖炉が出迎えてくれる。住居数は89室。スパ、ビューティーサロン、美容室、プール、ビストロ、ジュースバーなどがあり、入居者は毎日様々な健康講座を受講できる。認知症予防として、入居者世代が思わず「懐かしい!」と唸る往年のウィネベーゴ(キャンピングカー)や、アメリカンドリームの象徴のクリス・クラフト製のボートが敷地内に展示され、自由に席に乗り降りして昔を思い出すことができる。庭では園芸をしたり、野菜を育てたりしながら、居住者同士の交流が図れる。テーマは、「毎日を有意義に」。一時入居も可能だそうだ。
    Aegis Living Opens in Mercer Island, Wash

細菌やカビを殺菌する照明機器

【プロダクト/サービス】

  • ・殺菌してくれる照明機器「SpectraClean」
  •  照明業界にイノベーションを起こす、米Hubbell Lighting社が、殺菌する照明機器「SpectraCLean」を発売した。照明学にマイクロバイオロジー(微生物学)を組み合わせ、405nmの低速な可視光と白色光を結合し、タスク・アンビエント照明(作業する場所や作業対象に必要な明るさに調節するスタイル)の要件にもきちんと対応する可視光により、ライトを照らしながら日常的にさりげなく殺菌ができるようになった。SpectraCLeanは、植物や動物の細胞にダメージを与えたり無生物材料を劣化させたりすることなく、空中やあらゆる物質の平面上に潜む細菌、カビ、真菌類、酵母の繁殖を防いでくれる。今後、教育、福祉、ホテル、公共交通機関、食品業界をターゲットに販売を開始する。
    Hubbell Lighting Introduces SpectraClean™ Visible Light Disinfection Technology for Commercial and Industrial Markets

  • ・天然麻由来成分CBD(カンナビジオール)入りのプレミアムアイス珈琲で健康増進
  •  今、研究者から熱い注目を浴びているCBDは、天然の麻から抽出された成分であり、抗うつ、抗てんかん、抗がんなどの薬効が認められている。そこに目をつけたアメリカの飲料水ブランドGood Dayは、CBD入りのプレミアム飲料水の新製品を3種類発表した。最初にウェブサイトで発売するのは、CBD入りの「アイス焙煎珈琲」。グァテマラ、ニカラグア、コロンビアのフェアトレード認証を受けたオーガニック珈琲豆、UVフィルターでろ過したきれいな水を使用し、CBDを15g配合。ダークチョコレートやスパイスの効いた、やや酸味のある深い味わいのアイス珈琲が、エネルギーを活性化してくれるという。添加物や糖アルコールは含まれていないそうだ。来月以降は、珈琲の他に、忙しい毎日をリフレッシュさせてくれる「シトラススパークリング水」、リラックスの素「アイスカモミールティー」も続々と発売される予定だ。どれも氷で割って飲むのがお勧めだそうで、1本(約230mL)6ドル(約648円)で販売予定。定期購入も可能だそうだ。
    Good Day™ Launches Premium CBD-Infused Beverage Line

  • ・英国Trio Sana社のアンチエイジングサプリ「Kollagenix-R」
  •  Trio Sana社はアンチエージング商品「Frankincense」と 「Kollagenix-Sport」に加え、新しく発売した「Kollagenix-R」の販売を米国で開始する。 Kollagenix-Rは自社開発したオーガニック栄養療法技術を用い、老化防止に不可欠なマリンコラーゲンと13種のアンチエージングビタミン類を全て一つの錠剤に凝縮し、肌、髪の毛、爪に潤いと滑らかさを与える効果があるそうだ。 「Frankincense」は、アフリカ北部にあるソマリランド共和国に古くから伝わる高品質のエッセンシャルオイルを使用。 Kollagenix-Sportは、関節や筋肉を相乗的に、スムーズに動かすのを助ける成分を含有する。体の内と外から栄養をバランスよく補給し、見た目的にも、体力的にも老化を少しでも遅らせたいという思いは、万国共通である。Health.comのウェブサイトには、アンチエージングの心得が掲載されており、ビタミンA、B、Cを摂取する、たばこを吸わないこと、砂糖の取りすぎに気を付ける、などの教訓の中に、「ストローを使わないこと(口の周りにしわが増える)」とあるのが面白い。
    Health and Wellness Company, Trio Sana, Plans to Bring Anti-Aging Supplement to American Consumers

  • ・ADHD患者の自己管理をサポートするウェアラブルデバイス
  •  バイオセンサーでストレス値を計測し、心理療法と組み合わせることでADHD(注意欠陥・多動性障害)患者の自己管理をサポートするウェラブルデバイスの特許が出願された。この腕に装着するデバイスを開発したのは、米Drum Echoes社の社長、マット・ジョルダーノ氏。マット氏は、5歳の時にADHDとトゥレット障害(音声チックを伴い、複数の運動チックが一年以上持続する精神神経疾患)と診断された。症状で苦しみながらも、音楽を通して気持ちを表現することを学び、ドラムを演奏している時には、不思議と症状が出ないことに気が付いた。その後、音楽の才能を発揮することで多くの友人関係を築き、カナダ、プエルトリコ、オーストラリアではADHD患者向けにドラムのワークショップを開催した。『ニューヨークタイムズ』のベストセラー本となった「Musicphilia」の中には、マットさんの個人的な経験が取り上げられ、話題となった。また、マットさんの母親は2003年に米国トゥレット協会の教育スペシャリストに任命され、何千人ものADHDで困難を抱える子供たちの支援に携わってきた経験を持つ。アメリカでは2歳から17歳までの子供の9.4%(610万人)がADHDと診断されており、学校生活や後の社会生活に困難を感じているという。このウェラブルデバイスが、ADHD患者の自立とQOL(生活の質)の向上をサポートすることに期待が寄せられる。
    Biofeedback Therapeutic Wearable for People With ADHD

  • ・最適な依存症治療施設を探してくれるiOS/Androidアプリ
  •  物質使用障害(アルコール依存症や薬物などの乱用およびそれらへの依存)の患者が自分に合った治療施設を検索でき、また施設側は、診察の受付と予約を管理できるモバイルアプリを米WeRecover社が開発し、複数のベンチャーキャピタルから530万ドル(約5.7億円)の出資金を獲得した。WeRecover社は、2018年の始動依頼、ウェブサイト上で何千人もの依存症患者の治療動向を詳細に分析し、サポートしてきた。今回提供されるアプリには、患者向けのB to Cサーチエンジンの「MATCH」と、B to B受付ポータルの「MAP」を搭載。患者と施設側との間で、数分で最適な治療先のマッチングができる上に、施設側の受け入れが困難な場合には患者の同意を得た上でより適切な機関を紹介するなど、効率的な情報連携も可能となる。
    WeRecover Launches Addiction Treatment Search Engine App for iOS And Android

母乳に含まれる成分に殺腫瘍効果

【要素技術】

  • ・固形腫瘍を遺伝子エンジニアリングで治癒できる可能性に迫る
  •  個人特有のがん細胞の突然変異を突き止め、その異常(新生抗原)のみを標的とする完全に個別化した免疫治療を施すことでがんを治すことができるようになるかもしれない。米PACT Pharma社はカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)と共同研究を実施し、自社の遺伝子エンジニアリング技術を駆使して、各人に最適な個別化免疫細胞を製造しようとしている。人に本来備わる免疫システムを使った免疫細胞療法は、血液がんの治療においては既に成功例が報告されているが、今後固形腫瘍やその他のがんにおいても活用できる可能性が見えてきている。
    Personalized gene-edited immune cell therapy for patients with solid cancers: New data establishes approach for verifying patient-specific cancer mutation targets

  • ・「そのまま使える」静脈内注入用インスリンの開発
  •  ヘルスケアに特化した戦略的投資会社、米Water Street Healthcare Partners社が米医薬品メーカーCelerity Pharmaceuticals社と、その場で使用可能な(ready-to-use)インスリン「Insulin Human」(ヒトインスリン製剤)の開発に成功し、米食品医薬品局(FDA)に初めて承認された。「Insulin Human」は、健常人から分泌されるインスリンと同じアミノ酸の並び方に作られたインスリンであり、開発された新薬は0.9%のナトリウムクロリド注射液に使われる。品質保持期限は従来の製剤よりも長くなり、常温(25℃)では30日間、冷蔵庫なら2年間保管可能とされる。米Water Street Healthcare Partners社が商品開発に成功したのは今回8回目となり、これからも革新的な製剤開発で、ますます臨床現場における効率化と治療の高度化に向けて活動を展開する。
    Water Street's Partnership with Leading Medical Products Company Leads to FDA Approval of the First and Only Ready-to-Use Insulin for IV Infusion

  • ・アスピリンの日常的な服用、米国で物議を醸す
  •  米国では、長年心臓発作予防に、少量のアスピリン(代表的な消炎鎮痛薬)を毎日服用するとよいと信じられてきた。2017年には、心臓病の診断を受けていない40歳以上の米国人2900万人が日常的にアスピリンを服用しており、そのうち660万人は医師から薦められたわけではなく、自己判断で服用していた。しかし、昨年複数の研究において、アスピリンの服用が、健康な人の頭蓋骨内出血のリスクを高めることが明らかにされた。アスピリンの服用の是非について物議が醸される中、米ライフサイエンス企業Bayer社は、「心臓病の患者が急にアスピリンの服用を中止すると、心臓発作のリスクは63%増え、血栓性脳卒中のリスクは40%増える」と注意を促した。現在、ガイドラインにおいては、アスピリンは心臓病を患う患者の2次予防としてのみ使用が許可されており、「アスピリンの服用計画を立てる場合は、必ず事前に医師と相談すること」とされている。
    Daily Aspirin Still Recommended for Millions of Americans Who Have Had a Heart Attack or Ischemic Stroke

  • ・妊娠14週目に破水したのちに、元気な双子の赤ちゃんを出産
  •  陣痛が起こる前(分娩開始前)に卵膜が破れ、羊水が流出したものを前期破水(PROM)という。特に妊娠37週未満(早産)の場合はpretermPROMと呼ばれ、アメリカでは毎年14万人の妊婦に発生する。レイチェル・シャドレー・バーローさんは妊娠14週目に、お腹の中の双子のうち1人の羊膜が破れ、医師からは今子宮から子供を出すと肺が生成されずに、2週間以内に流産する危険があると告知された。レイチェルさんと夫のジェズさんは失意の中自宅に戻り、藁にもすがる思いで米PPROM財団が提供するオンラインサポートネットワークとガイダンスを頼りに、母体を安静に保った。24週目の検診で赤ちゃんの羊膜が完全に離れたことが確認され、その後無事に赤ちゃんは出産された。子宮の中で、赤ちゃんが3カ月間羊水がない状態で過ごしたことによる大きな影響はなく、片足に外科系の症状が残ったのみで済んだという。PPROM財団は、今回のようなケースはまれだとし、前期破水のさらなる研究を推進し、妊婦が正しい情報を元に自己チェックできるよう、ホームページで意識啓発を促している。
    Mother Delivers Healthy Full Term Twins After Water Breaks at 14 Weeks With Support From The PPROM Foundation

  • ・共感力と思いやりを生む脳のメカニズム
  •  ビジネスパーソンであり、慈善活動家としても知られるT・デニー・サンフォード氏が、カリフォルニア大学サンディエゴ校に「共感と思いやりの研究所」を新設。共感と思いやりを脳神経学的に研究するために、最新の神経画像技術を駆使し、脳の活動マップを作成。思いやりのある振る舞いを抑制・促進する因子を解析し、共感力を高めるシグナルを増加させる方法を探る狙い。サンフォード氏は、ダライ・ラマの科学と信仰への深い洞察に触発され、共感力を生む脳の仕組みを、医療従事者のトレーニングに取り入れようとしている。米国では医師や医学部の学生の燃え尽き症候群が問題となっており、1万5000人の医師の44%が燃え尽き症候群を経験したと回答している。医学の道を目指す人の多くは、最初は「人の役に立ちたい」という強い思いやりと共感力が動機として働くものの、ストレスの高い医療現場で目的を見失うケースもあるという。科学データに基づいた「共感力と思いやり」を医療現場に効果的に取り入れることにより、世界はよりハッピーで健全な場所になるとサンフォードさんは語る。
    With Landmark Gift, UC San Diego Will Map Compassion in the Brain, then Prove its Power

  • ・南フロリダLee Memorial病院で、初めて消化器外科手術をロボットが支援
  •  米最大手の総合的がん治療ネットワーク21st Century Oncologyの一部門である、South Florida Surgical Oncologyが初の消化器系ロボット支援手術を実施した。医師は、患者の横のコンソールの中に座り、最新の技術を使ってロボットの腕を操作しながら手術を進める。手術支援ロボットを使うことで作業の正確性を高め、侵襲を最低限に抑えることで患者の入院期間を短縮し、痛みを軽減しながら回復を早めることができる。多くの患者がオンラインでロボット支援手術が受けられる病院を検索し、遠方から訪れているそうだ。
    South Florida Surgical Oncology, A 21st Century Oncology Practice, Performs Its First Robotic-Assisted Operation

  • ・母乳成分を使った「未来のやさしいがん化学療法」
  •  スウェーデンの研究グループが、1995年に人の母乳に含まれる成分が、普通の細胞を傷つけることなくがん細胞を撃退することを突き止めた。母乳に多く含まれるたんぱく質α-ラクトアルブミンがオレイン酸と結合することで、殺腫瘍性の効果が発揮されるという。この最新の治療成分はHAMLETと名付けられ、第1相と第2相試験が行われた結果、膀胱がん患者への効果が立証され、副作用も報告されていない。また、他にも40種以上のがん細胞をやっつけることが研究で明らかにされている。この母乳成分を使った治療を開発した米Hamlet Pharma社は、未来の「gentle chemotherapy(やさしいがん化学療法)」としての確立を目指すとして意欲を示す。
    HAMLET Pharma Announces Results of First Major Clinical Trial for a New Cancer Killing Molecule

  • ・脳はどうやって匂いを判別しているのか
  •  米Cold Spring Harbor Laboratory(CSHL)とハーバード大学の神経科学者が共同で、脳の嗅覚を解明する研究を行ったところ、従来の見解を打ち消す結果が出た。従来は、それぞれの匂いの分子特性を脳が予測するシステムが存在するとされていたが、今回の研究では、ある種の匂いの中には分子特性と脳の神経反応に関連性が見られるものの、初めて遭遇する匂いやバラバラな分子特性でテストをしてみたところ、脳には匂いを予測する能力はないということがわかった。今回の研究ではっきりしたのは、匂いに関する脳の働きは解明できず、脳から発信される物理的・科学的な機能は見つからなかったということである。人が匂いをかぐと、まず嗅覚受容体によって鼻から取り込まれ、前脳にある嗅球によって情報が大脳皮質など、脳の他の部位に伝達される。そこで匂いの情報が分析され、嗅球へとフィードバックされる仕組みだ。視覚とは違い、嗅覚の体験は非常に主観的であり、それぞれの人の個人的な経験に左右されるそうだ。以前の研究結果とは異なる見解が生まれたことは、新しい発見につながるチャンスだとして、研究者の間では期待が高まっている。
    Quantifying how the brain smells

(タイトル部のImage:Photobank -stock.adobe.com)