ダニ媒介感染症の迅速検査がFDA承認

【要素技術】

  • ・初期のすい臓がんも、分子診断で検知可能に
  •  米OTraces社が、分子診断技術を使い、すい臓がんを早期発見する予備研究を行った。研究はピッツバーグ大学メディカルセンターで行われ、がんのバイオマーカー(病状の進行度を示す物質)を、腫瘍微小環境(腫瘍の周囲に存在して栄養を送っている正常な細胞・分子・血管)の中の、すい臓がんに関係するタンパク質から選別して調べたところ、検査精度98%という目覚ましい成果が出たそうだ。同社は、年次のがん検診項目である乳がん、前立腺がん、肺がん、卵巣がん、メラノーマに加え、すい臓がんを加えることが可能になったと発表し、今後もできる限り安価で手軽に受診できる、精度の高いがん検診を提供したいと意気込む。乳がんは、既にステージ0からの検知が可能になってきており、今後も他社とのコラボ研究を通し、がん検診や特殊目的試験の精度向上を目指しているそうだ。
    Pancreatic Cancer Detection Study Yields Encouraging Results

  • ・ナチュラルキラー(NK)細胞の市場動向(2018年-2026年)
  •  NK細胞とは、免疫細胞の一つであり、がん細胞をいち早く攻撃、殺傷するとして注目されている。米Allied Market Research社の調査によると、NK療法の市場は2026年には50.9億ドル(約5400億円)に達し、年平均成長率は、17.4%に上ると予測される。今後、感染症や肝臓疾患治療の増加、免疫治療に対する意識の向上、二重特異性抗体(一つの抗体で二つの標的分子に結合する抗体)の研究開発の発展により、NK細胞の市場はますます活性化するそうだ。一方で、特異度(ある検査を健常者集団に行った場合に、陰性と判定されるものの割合)が低いこと、生体内におけるNK細胞の生存割合が低いこと、治療のコストの高さ、副作用などの課題が成長を妨げる要因として挙げられている。免疫療法の可能性を開くNK細胞の研究動向を、今後も注視する必要がある。
    Natural Killer (NK) Cell Therapeutics Market to Reach $5.09 Bn, Globally, by 2026, at 17.4% CAGR: Allied Market Research

  • ・先進コネクテッドケアで、糖尿病網膜症を専門医が遠隔診断
  •  米Hillrom社が開発した「Welch Allyn RetinaVUe 700 Imager」と呼ばれる携帯式網膜検査カメラ。遠隔地に住んでいたり、外出に困難を抱えたりしている患者に対して総合診療医(primary caregiver)が訪問診療を行い、患者の網膜の写真を撮影し、糖尿病網膜症の診断を早期発見できるようになると期待される。糖尿病網膜症は、糖尿病の三大合併症の一つであり、成人の中途失明の主な要因となっている。この新型カメラを使うと、2.5mmの瞳孔の高品質画像を自動撮影で、従来よりも75%広範囲に取得できるそうだ。患者の網膜の画像は、同社の通信ネットワークを利用し、各州の認可済の眼科医、網膜専門医、もしくは地元の眼科医院にすぐに送信・診断されたあと、診断書が最初の総合診療医に1日以内に返送される仕組みだ。データセキュリティーには細心の注意が払われ、データ送信には暗号化とクライアントサーバー認証を実装して安全性が強化されているという。先進コネクテッドケアにより、疾患を早期発見する取り組みの一例である。
    Hillrom Introduces Next-Generation Breakthrough Technology In Fight Against Diabetic Retinopathy

  • ・マダニを介した感染症「ライム病」を「酵素免疫測定法」で迅速に検出
  •  米食品医薬品局(FDA)が、ライム病の新たな検査方法を承認した。ライム病とは、ライム病菌に感染した野生のマダニに咬まれることで発症する感染症であり、2017年の米国における発症例は、4万2743件報告されている。症状は、発熱、筋肉痛などのインフルエンザ症状に加え、皮膚に紅斑症状が出る場合があり、治療しないまま放置すると、感染が関節・心臓・神経系にまで広がるため、早期治療が必要である。従来のライム病の検査は2つの別々のタンパク質のテストを行う方法を取り、検査結果が出るまで時間を要したが、今回の新たな検査方法を使うと、2種類の酵素免疫測定法を同時並行で実施し、臨床医によりその場で迅速に結果が分かるため、早急に対処できるようになるという。日本では、ライム病は2018年までの20年間で231例報告されており、数は少ないものの、野鼠やマダニの病原体保有率は欧米並みであることから、潜在的にライム病が蔓延している可能性が高いと推測されている。酵素免疫測定技術の向上が進むことで、医師も見分けることが難しい感染性の病原体の増殖を防ぐことが可能になる。
    FDA clears new indications for existing Lyme disease tests that may help streamline diagnoses

(タイトル部のImage:Photobank -stock.adobe.com)