健康長寿の秘訣は、日々の食事です。昨年、米国の生化学者で老化研究の第一人者であるブルース・エイムス博士が、「エルゴチオネイン」と呼ばれるアミノ酸の値が低いとタンパク質、脂質、DNA(デオキシリボ核酸)の酸化障害を引き起こす、と発表しました。認知症の一歩手前の状態である軽度認知障害(MCI)を防ぐには、エルゴチオネインを豊富に含む食品を摂取するとよいといわれています。エルゴチオネインは、強い抗酸化力を持つ水溶性のアミノ酸で、ヒトの体内では生合成できないため、含有量の多いキノコや、サプリメントから取り入れる必要があります。食事の偏りがちな現代人は、サプリでエルゴチオネインを効率良く補いながら、老化防止につなげたいですね。医療、美容、食品の各分野で長寿ビタミンの研究開発が進められています。


以下では、2019年8月19~23日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【ビジネス】【プロダクト/サービス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【ビジネス】

  • ・キノコに含まれるアミノ酸「エルゴチオネイン」が認知障害と関連
  •  米国の食材製造供給会社Blue California社が、「ErgoActive」という抗酸化作用の非常に高いスーパー添加物を開発し、米食品医薬品局(FDA)のGRAS(安全基準合格証)を取得した。ErgoActiveに興味のある各企業は、今後、自社の化粧品や美容製品、食品、飲料、機能性食品などにErgoActiveを使用できるようになる。ErgoActiveには、高い抗酸化・抗炎症作用があり、ヒトの体の酸化ストレスの発生を防止し、活性酸素と抗酸化システムのバランスを改善して、老化を防止してくれるという。近年の研究で、体のエルゴチオネイン(Ergothioneine)の値と、キノコの摂取量、加齢による認知障害とに一定の関係性が見られることが分かり、エルゴチオネインのニーズが高まっている。化学合成添加物が多い中、自然発酵のエルゴチオネインを市場へ提供できるのは、Blue California一社だけであり、今後、この製法が業界標準となることが期待される。
    Super Antioxidant Ergothioneine Achieves GRAS Status from FDA

  • ・薬の内服時間や飲み合わせのリスクをAIで個別管理するサービス
  •  薬を処方通りに服用することを指す、「medication adherence」という用語がある。ついつい忙しいと薬を飲むことを忘れてしまい、症状が改善せず、かえって悪化させてしまった経験がある人も多いのではないだろうか。そこに目をつけた、米ソフトウェアベンダーGroove Health社が、米国の保険会社と提携し、長期保険契約者に対し、自社の予兆検知アナリティクスを使ったデジタル医療プラットフォームを提供し、薬の服用を個別管理するサービスを提供する。契約者は、Groove HealthのAI(人工知能)を活用したモバイルアプリをダウンロードして、薬の服用を管理できる。このアプリには、AI仮想医療アシスタント「Maxwell」が搭載され、薬に関するユーザーからの質問の受け答えをし、データを使って個別化したサービスを提供してくれる。アプリは、薬を飲む時間を通知したり、薬の飲み合わせに関する警告を配信してくれたり、服用の経過を医師と共有できる。薬を処方通りに服用することは、健康になるための最も確実な方法であるにもかかわらず、患者の2人に1人は、処方通りに服用していないそうだ。高齢者の薬の服用のサポートは特に重要であるため、使いやすくコストの低いAIソリューションに期待が寄せられる。
    Groove Health Collaborates With CNA Insurance To Bring AI-Powered Medication Adherence Platform To Policyholders To Support Healthier, Independent Lives

  • ・中国のヘルスケア最新動向をインタビューで動画配信スタート
  •  中国111Inc社は、国内の数億に上る顧客に対し、調剤用薬や医療サービスをオンラインとオフラインの統合ヘルスケアプラットフォームで提供している。このたび、新たなサービスとして、「111Insight」と呼ばれるインタビュー動画配信をスタートすると発表した。「111Insight」では、ヘルスケア業界の著名な専門家、投資家、企業などへのインタビューを通し、中国のヘルスケア最新動向を紹介する予定。中国のヘルスケア業界は急成長中であり、今後の医療改革や国内の制度などに国際的な注目が集まっている。インターネットを活用したヘルスケア動向、調剤用薬の流通における変革、国内政策・規制のヘルスケアビジネスへの影響、保険業界におけるテクノロジー活用、ますます進む高齢化対策など、様々なトピックを取り上げ、中国のヘルスケア業界の成長を後押しする。
    111, Inc. Launches New Video Interview Series on China's Healthcare Landscape

  • ・革新的な股関節置換術で、手術後に自分で歩いて自宅へ帰ることが可能に
  •  米国の外来専用外科センターOrthoArizonaの医師マイケル・ウィルミンク氏が、侵襲性の低い手術方法を開発し、股関節置換術にイノベーションを起こしている。股関節置換術は非常に複雑な手術であり、通常は入院が必要である。しかし、Gateway手術センターでは、手術の方法を改善し、患者が術後3時間で、歩行器を使いながら自分で歩いて家に帰ることができる。この前部股関節置換手術法は、専門の麻酔チームのサポートを取り入れ、患者の痛みを最小限に抑えながら、より早く歩行を開始し、治癒を早めることを可能にした。外来専用の外科センターで手術を受ける方が、総合病院で手術を受けるよりも治療費が安く済み、感染症にかかる割合も低いという利点もある。股関節置換術を受けた患者からは、「手術を受けてから2カ月後には、歩行器を使わずに自分で歩けるようになった」「朝起きたときに痛みを感じることがなくなり、毎日が快適に暮らせるようになった」と喜びの声が相次ぐ。同センターでは、今後も治療プランに将来的な支障をゼロにする「予防ケア」を取り入れながら、股関節の急性・慢性疾患の最善の治療法を模索する。
    OrthoArizona Now Offering Outpatient Anterior Hip Replacements in Phoenix