「グーグル先生」は希少疾患の診断の一助となるようだ。患者がインターネットで検索して見つけた希少疾患の専門医を直接受診しても、医師からの紹介を介して受診した場合と診断される確率は変わらないことが、米ウェイク・フォレスト大学腎臓病学教授のAnthony Bleyer氏らの研究から明らかになった。同大学の常染色体優性尿細管間質性腎疾患(ADTKD)と呼ばれる遺伝性希少疾患の専門施設に紹介された665症例を分析した研究結果は、「Genetics in Medicine」7月24日オンライン版に掲載された。

 ADTKDは腎臓の機能が徐々に低下し、最終的には腎不全に至る疾患だ。最終的にこの希少疾患と診断された米国人のある女性は長年、何人もの医師から「原因不明」とされていた。「私の2人の兄弟や母親をはじめ、いとこ、はとこ、叔父、2人の大叔父は皆、腎臓病を患っていた。しかし、病名が診断されたことはなかった」と女性は振り返る。

 女性によると、ADTKDと診断がつく前に診察を受けた医師のうち2名の腎臓専門医はADTKDの症状については知らず、別の医師からは誤診に基づいた治療がなされ、「もう心配する必要はない」と助言されていた。しかし、彼女はその医師の助言に従わなかった。兄弟が「痛風」「腎臓病」をキーワードに、オンライン検索で見つけた同大学医療センターの専門医を受診し、やっとADTKDの確定診断を受けることができたという。

 この女性の例が示すように、希少疾患の診断には困難が伴う。プライマリケア医だけでなく、専門医でさえ診断を下すのは難しいケースがある。患者の多くは、未診断や誤診されたまま年月が過ぎていくこともあり得る。

 Bleyer氏らは今回、同大学のADTKDを専門とする研究施設に、1996年から2017年の間に紹介された665症例を対象に分析した。その結果、症例の40%は大学病院の医師から、33%は大学病院以外の施設の医師からの紹介例だったが、残る27%は患者やその家族が直接受診したケースだった。最終的には、これら紹介例の約4分の1がADTKDと確定診断されたが、診断率は医師からの紹介例と直接受診例で差はみられなかったという。

 Bleyer氏によると、一般的に希少疾患は有病率が20万人中1人未満の疾患と定義されている。希少疾患それぞれの患者数はごくわずかだが、米国では計2500万人もの患者がいると推定されている。

 この研究には関与していない、全米希少疾患患者協議会(NORD)のシニアアドバイザーであるMary Dunkle氏は「希少疾患の診断が遅れるのには、さまざまな理由がある」と話す。同氏は「希少疾患の中には、ありふれた疾患に似たものがある一方で、複雑で複数の器官に関与するものも少なくない」と説明。「7,000以上の希少疾患があることを考えると、地域の医師が全ての疾患に精通することを期待するのは現実的ではない」と同氏は述べている。

 一方、Bleyer氏は「インターネット検索は必ずしも生産的とはいえないが、希少疾患に苦しむ人を専門医につなげる道筋を示すことはあるようだ」と話している。ただし、同氏は「患者は医師の手助けなく自己診断すべきではなく、ましてや自分で治療することはあってはならない」と強調する。Dunkle氏もこれに同意し、「患者や介護者はオンラインで入手した情報には常に注意すべきだ」とし、米国立衛生研究所(NIH)や教育病院、医師が監修した患者団体のサイトなど信頼性の高い情報のみを参考にするよう呼び掛けている。

[HealthDay News 2019年8月19日]

Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.

(タイトル部のImage:Romolo Tavani -stock.adobe.com)