自分で視点を調整しメガネを処方できるデバイス

【要素技術】

  • ・血液バイオマーカーアッセイで乳がん治療の効果を予測
  •  スウェーデンBiovica社と、米国最大のがんの臨床試験団体SWOG(Southwest Oncology Group)が、共同研究を開始した。過去に行われたSWOG0226という臨床試験の血液サンプルを使い、Biovica社が開発した「Divitum」という、がんの状態を評価するための血液バイオマーカーアッセイ(分析)の効果を実証する実験だ。

     SWOG0226とは、2004年から2009年にかけてカナダと米国の73の病院で行われた、707人のホルモン受容体陽性転移性乳がんを患う閉経後の女性を対象にした試験であり、2つの抗エストロゲン薬を投与された患者が、投与されていない患者と比較して延命効果が実証された。今回、この患者たちの血液サンプルをDivitumで分析し、SWOG0226の実際のデータと照らし合わせることで、この分析法が、ホルモン受容体陽性転移性乳がん患者の治療効果を正確に予測できるかを検証する。

     Divitumは、革新的なバイオマーカーアッセイであり、がんの治療効果をモニタリングし、予測するために用いられる。血清中のチミジンキナーゼ(TK)の活性度を測定することで、腫瘍の増殖能力を評価することができ、他の測定法に比べ、身体にメスを入れずに簡単に血液検査で測定できる利点がある。乳がん患者数は年々増加しており、現在日本人女性の12人に1人が乳がんになっている。がんの治療効果をすぐに確認し、適切な治療を行うための血液バイオマーカーアッセイの研究が急がれる。
    DiviTum® Included in New U.S. Cancer Study

  • ・自分で視点を調整しメガネを処方できるデバイス
  •  米PolyOne社のIQデザインチームが2019年米国インダストリアル・デザイナー協会の主催するIDEA賞(International Design Excellence Awards)においてソーシャルインパクトデザイン部門で「金賞」を受賞した。IDEA賞は、経済と生活の質に深く関わるデザインの価値を、一般やビジネス界に伝えることを目的として1980年に設立された、世界的に権威のあるデザイン賞である。審査は、製品の機能や美観だけでなく、革新性、利便性、社会性などの観点から行われる。今回金賞を獲得したのは、PolyOne社が、非営利団体Global Vision2020のために開発した「Usee self-refraction」というデバイス。このUseeを開発したのは、Global Vision2020の創立者でもあるJケビン・ホワイト氏だ。受賞を受け、Useeは、ヘンリー・フォード・アメリカン・イノベーション博物館に恒久展示される。

     このUseeとは、どのようなデバイスなのかというと、先進国で使用される眼科機器とは異なり、かすみ目で悩む患者が自分で視力検査表を見ながら視点を調整し、自分に合ったメガネの処方ができるというものだ。現地で訓練を受けた「屈折矯正士」たちが、診断をサポートしてくれる。Useeを使うと、15分で度付きメガネをつくることが可能で、値段はなんと5ドル以下で済む。PolyOne社の副社長のキャシー・ドッドさんは、「我々のIQデザインチームは、デバイスのデザインと生産のシンプル化に力を注いできた。より多くの人に安価なメガネを提供するこのグローバルな挑戦は、我々のサステナビリティー・ゴールに合致し、世界と地域コミュニティーへの貢献につながる」と話す。

     PolyOne社は、Useeの他に、専用のポリマー材料を用い、食品や医薬品の長期保存を可能にする、プラスチック量の少ない梱包素材を提供している。この素材は非常に軽量なため、従来の鉄、ガラス、木材などの重量のある素材の代わりに利用すれば、輸送の際の燃費性能を改善することができる。また、排水を最小限にする革新的な技術を用い、様々なセクターにおける梱包素材のリサイクル率を上げるための製品開発を続けている。
    PolyOne IQ Design Team Receives Gold IDEA Award for Social Impact

  • ・臨床シミュレーションで患者ケアの向上
  •  臨床シミュレーションがヘルスケアを急激に変える。シミュレーションとは、実際のイベントと同じ状況や環境を用意し、練習、学習、テスト、評価を行う技術である。9月16日から20日まで、米国の健康福祉(医療)領域におけるシミュレーションに取り組む学会Society for Simulation in Healthcare(SSH)が、ヘルスケア・シミュレーション週間を開催する。本イベントでは、シミュレーションセンターのツアー、またはオンラインのバーチャルツアーやシミュレーションビデオコンテスト、Facebookの討論会やセミナー、ソーシャルメディアの座談会などが行われる予定。

     シミュレーションを用いることによって、学習者は、作業の手順やダイナミックな意思決定、コミュニケーションなど、重要なスキルを習得し、膨大な量の仕事の管理法や、ストレスの高い環境の中で仕事を調整する能力を、練習を通して鍛えることができる。シミュレーションを使った訓練法により、縫合や出産などの様々な技術的な手順をトレーナーやマネキン、VRを使って体験できる。また、自然災害や銃乱射事件などをシミュレーションし、患者のロールプレイを通して、重要な場面に備えることができる。

     シミュレーションは、1人ひとりの学習者のスキル向上だけでなく、患者の安全と治療のために守らなくてはならないプロセスやシステムのパフォーマンスや、効果を試すリアルな体験を提供してくれる。病院では、様々な「もしも」に対応するための、適切なケアプロセスのモデルが必要であり、一連の手順を常に改善することが求められる。シミュレーション技術の向上により、健康福祉領域の教育、実践、研究を高度化することで、医療事故を減らし、医療安全の向上を目指す。
    Simulation Is Changing The Way That Healthcare Professionals Learn And Improve Patient Safety

(タイトル部のImage:Photobank -stock.adobe.com)