国連の報告書によると、2019年現在77億人の世界人口は2050年には97億人へと、今後30年で20億人増加する見込みです。平均寿命が延び、世界人口の11人に1人(9%)が65歳以上となっています。高齢化の進展に伴い健康や環境安全への関心が高まる中、普段私たちが何気なく体に取り込んでいる空気と水の純度と清潔度に、改めて目が向けられています。特に1980年~90年代前半に生まれたミレニアル世代や、90年代後半~2010年に生まれたセンテニアル世代は、健康と安定感を好む傾向があり、人間と地球環境とのクリーンな共生に重きを置く未来世代といわれています。そんな時代のニーズに応えるべく、米国の空気清浄機メーカーと浄水器メーカーのリーダー2社がそれぞれの強みを掛け合わせ、「クリーンな空気と水」をパッケージで届けるミッションを開始しました。


以下では、2019年9月30日~10月4日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【ビジネス】【プロダクト/サービス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【ビジネス】

  • ・空気清浄機と浄水器の最新テクノロジーがコラボ
  •  空気清浄テクノロジーのグローバルリーダーの米HealthWay社と、プレミアムミネラルウォーターと浄水ソリューションのグローバルリーダーの米Culligan社の2社がパートナーシップを組み、きれいな空気と水のパッケージを消費者へ提供し始める。世界保健機関(WHO)は、大気汚染を、人類が直面する地球規模の一番の脅威に位置付け、屋内にたまる空気の汚染と超微粒子が肺がん、気管支喘息、心血管疾患、アルツハイマー病を引き起こす影響について取り上げている。一般に使用されるエアコンには、有害な超微粒子から人を保護する機能は備えられていないというのが現状だ。

     飲料水、シャワー、調理に、綺麗な水を使うことは、何よりも重要である。Culligan社は、米国における水のディーラーやエキスパートの強力なネットワークを持つ。Culligan社は、家庭と業務用の水に含まれる有害物質を除去する技術に長けており、HealthWay社の空気清浄ソリューションとタッグを組むことで、製品販売ポートフォリオを広げることができる。水の中に含まれる鉛を取り去ることから始まり、家族が集まる居間の空気から超微粒子をなくすことができれば、心臓病や脳卒中、呼吸器疾患を防ぐことが可能になる。HealthWay社のテーマは、「We breath innovation(イノベーションを吸い込む)」。より快適に、安心して呼吸し、水道の水を利用できるよう、家庭、職場、病院、ホテルなど、全ての屋内環境に空気と水のイノベーションが始まる。
    HealthWay and Culligan Partner to Provide Safer Environments for the Wellness Minded Customer

  • ・ドローンによる空の医療備品配送サービス、米国で開始
  •  医療備品をドローンで配送するパイオニアである米Matternet社が、米国連邦航空局(FAA)から、ドローン技術の承認を取得。また米運送大手UPS社は、米国の「Part 135 Standard」の認可を受け、無人航空機が55ポンド(約25kg)超の荷物を、日中・夜間にかかわらず、航空輸送する許可を得た。これから、UPS社はMatternet社のドローン技術を使って、米国内の病院キャンパスにドローン配送ネットワークを作る予定だ。

     「Part 135 Standard」の認可を受けたのは、数ある中もUPS社が初めて。大手のAmazon AirもUber Eatsもまだ認可されていないため、話題を呼んでいる。いよいよ本格的に米国内における病院間のオンデマンド・ドローン配送が始まる。

     Matternet社のCEOアンドレア・ラプトポロス氏は、「ドローンのネットワークにより、緊急医療に必要な備品をオンデマンドで、迅速に、低コストに、またエコロジカルに配送する、新たな移送手段のニーズに応えることができる。我々の技術を使って、ヘルスケアとロジスティクスに変革を起こす」と意気込む。

     今回FAAに承認されたのは、Matternet M2というドローンと、Matternetのクラウドプラットフォームを統合したロジスティクス・システムである。Matternet M2は、5ポンド(約2.2kg)以内の荷物を12.5マイル(約20.1km)と目視外まで(Beyond Visual Line of Sight)、また人の頭上を移送することが可能だ。既に2社は、米WakeMed病院にてヘルスケア配送サービスを開始しており、1000件以上の医療備品配送を成功させている。空のロジスティクスを利用すれば、道路や地形の制約から自由になり、荷物の運搬に最短ルートを利用できるため、1分1秒を争う緊急医療の備品配送にかかる時間を大幅に短縮し、到着予測が正確にできるようになる。患者への治療の質向上と、医療のオペレーションの効率化に期待が高まる。
    Matternet's Technology Enabling First FAA-Approved Drone Airline

  • ・AIのモバイルアプリで糖尿病患者のリアルタイムコーチング
  •  血液中のグルコースモニタリングの世界的リーダー米LifeScan社が、米Willis Towers Watson社とコラボを組み、糖尿病治療のデジタルソリューション「OneTouch Reveal Plus」の販売を拡大する。この製品は、WellDoc社のBlueStarテクノロジーを搭載し、個々の患者向けのリアルタイムコーチングを、モバイルアプリで提供する。自家保険制度を採用する米国の企業が、糖尿病を患う従業員の治療に役立つ製品を提供することで治療費削減を実現できる。

     OneTouch Reveal Plusは2型糖尿病を患う成人患者向けの製品として開発され、現在1型糖尿病やその他の疾患への適用を拡大するためアプリの性能とコネクティビティーを拡充し、米食品医薬品局(FDA)の承認を目指す。

     Welldoc社が開発したプラットフォーム技術に利用される「BlueStar」は、2019 MedTechブレイクスルー賞の「ベスト・パーソナル・ヘルスアプリ」を受賞、またDigital Diabetes Congress2019モバイルアプリコンテストに入賞するなど、高い評価を受けている。OneTouch Reveal Plusは先端的な人工知能(AI)を、エビデンスに基づいた糖尿病管理システムに組み入れ、週次で食事を計画したり、インスリン量や運動量を測定したりしてくれる、頼もしいサポートツールだ。また、Smart Visit Report機能を活用すると、会員はヘルスケアチームと治療についてより効果的な会話ができる。OneTouchブランドを愛用する200万人以上の糖尿病患者の健康管理がもっと手軽になり、信頼と安心感を提供する。
    LifeScan Engages with Willis Towers Watson to expand access to OneTouch Reveal® Plus, a Cost-Effective Diabetes Digital Coaching Solution

  • ・オピオイド乱用問題に挑む、ペプチドを使用した新たな鎮痛薬
  •  バイオテク企業の米Peptide Logic社が、ペプチド抗体合成(PACs)鎮痛薬を開発するため、中小企業技術革新制度(SBIR)のフェーズ2補助金300万ドル(約3億2000万円)を獲得した。この資金で同社は中から重度の痛みの治療に用いる新たなソマトスタチン受容体4(LA-SSTR4)の作動薬を開発する。作動薬とは、生体内の受容体分子に働いて、神経伝達物質やホルモンなどと同様の機能を示す薬のこと。この新たな薬が開発されれば、米国で社会問題となっているオピオイド系鎮痛薬の乱用問題の解決につながる。オピオイドは、医療用の麻薬性鎮痛薬の総称で、モルヒネやフェンタニルなどがあり、脊髄を通って大脳に届く痛みを遮断するが、痛みのない人が使うと脳内に快楽物質が出るため、多くの人が依存症になり、問題となっている。

     今回の補助金は、依存症の治癒に長期的に取り組むNIH HEALイニシアチブの一環でもあり、米国立薬物乱用研究所(NIDA)と米国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)が出している。Peptide Logic社のCEO兼であるピエール・リビエレ氏は、「依存性のない、局所的で長期的な効果の高い、新たな中枢作用性鎮痛薬の開発の支援を嬉しく思う」と語る。今回のイニシアチブでは、同社が以前開発した、痛みの伝達を行う末梢神経の求心路に作用する抑制ペプチドGタンパク質共役型受容体(GPCR)を利用し、PAC作動薬の研究をさらに一段前進させることができる。オピオイド危機への対応策として、より安全で効果の高い鎮痛薬を市場に提供する挑戦は続く。
    Peptide logic awarded $ 3.0 million grant to develop Peripherally-Restricted Long-Acting Somatostatin Receptor 4 (LA-SSTR4) Agonists for Pain