デンマークbyACRE社の「Carbon Ultralight rollator」の写真に思わず見入りました。歩行車には見えない、ヨーロッパらしい洗練されたデザインと機能性を備えたフレームとフォルム。歩行に困難を抱える人たちの心を軽くし、ちょっと外へ出かけようかという気持ちに変えてくれるアイテムだと感じました。同社設立者のべグリーン氏は、「患者ではなく、一人の人間という視点で歩行車をデザインした」と言います。色やスタイルなど、視覚的な要素が人の気分やモチベーション、ひいては健康に与える影響は意外と大きいものです。ヘルスケアとアートのコラボレーションで、新たな価値が生まれる可能性を感じます。


以下では、2019年11月4~8日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【ビジネス】【プロダクト/サービス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【ビジネス】

  • ・スカンディナビアン・デザインを採用したおしゃれな歩行車
  •  デンマークのbyACRE社は、先進的歩行車をデザイン・生産するグローバルリーダー。世界一軽量でデザイン性の優れた製品として、RedDotデザイン賞2019を獲得した「Carbon Ultralight rollator」の販売を2020年1月に米国とカナダで開始する。この歩行車は2017年に開発されてから、数々のデザインとイノベーション賞を受賞し、活動範囲に制限のある人たちに、よりアクティブなライフスタイルを提供してきた。最先端のエンジニアリング技術、余計な部品を排除したミニマルなスタイル性、個別化機能、おしゃれなスカンディナビアン・デザインで、歩行に支障がある患者の活動制限をスタイリッシュにカバーする。色はオイスターホワイト、ストロベリーレッド、カーボンブラックから選べ、サイズは2種類提供。

    Carbon Ultralight rollator(出所:byACRE社 https://www.byacre.com/en-us/

     byAcre社の共同設立者であるアンダース・べグリーン氏は、「患者ではなく、一人の人間という視点で歩行車をデザインし、業界のイメージを変えたいと考えた」と話す。「移動は、今の社会にとって最も重要な価値の一つ。高齢になるにつれ、大きな挑戦にもなる。従来の歩行車は古いモデルが多く、サポートを必要とする人のニーズに十分応えていない。今の高齢者たちは溌剌としており、補助器具のイメージを刷新する必要がある」

     Carbon Ultralightは、職場でも旅行先でも、また家族や友人と過ごす日々の中で自立をサポートしてくれる。移動という、生活の中の重要な活動に、プライドと自分らしいスタイルを表現できる。器具のデザインと機能は細部にまで気を配られており、ブレーキのケーブルが見えないように隠し、人間工学に基づいて設計されたハンドルは従来の歩行車とは逆向きのため、背筋がシャキっと伸びる。ボタン一つでハンドルの高さを調節することが可能で、振動を吸収するフレームと柔らかいタイヤを採用。byAcre社の名前の由来には、「Active」とラテン語の「Re-habitare」(Back to Life:人生をまた始める)という意味が含まれる。歩行をスタイリッシュにサポートしてくれるツールが、人生の充実度を高めてくれる。
    byACRE, Trailblazer of Mindful Design, Poised to Transform Global Mobility Aid Category with North American Launch of World's Lightest Rollator

  • ・腕に巻くスマートデバイスとスマホで手軽に片頭痛ケア
  •  遠隔電気ニューロモデュレーション(REN)という治療法が、片頭痛を治す高い効果があることが、米国頭痛学会の学会誌に発表された。ニューロモデュレーション治療とは、電気や薬による刺激で神経(ニューロン)の働きを変える技術である。従来の片頭痛の薬物治療に代わる、新たなファーストライン・セラピー(安全性と有効性の面で最初に行うべき第一選択療法)として認知が高まっている。

     片頭痛は、世界中で多くの人が経験する神経性疾患であり、効果的な治療が確立していない。「RENは薬物も外科的な処置も必要としない上、治療法として安全で効果が高いことが実証されている」と語る米UCLAのアラン・ラポポート博士は、記事の中でイスラエルTheranica Bio-Electronics社が開発した、スマートフォンとつなぐウエアラブル治療デバイス「Nerivio」の研究結果を発表した。Nerivioは、米国では既に医師による処方が開始されており、標準的な薬物療法と同等の効果がある上に、薬物による副作用や依存症がない点で安全性が認められている。

     このスマートウエアラブル機器を二の腕の上部にバンドのように装着すると、スマホからの操作でRENを体のCPM(conditioned pain modulation:体のある部位に与えた刺激により別の部位の痛みが抑制される機構)に送り、神経の機能を修正制御することができる。患者は自分の症状に合わせて刺激の強さを調整しながら、片頭痛を2時間で和らげる効果がある。また、デバイスから収集したデータはスマホアプリのMigraine Diaryに記録し、医療機関と共有して、最適な治療計画を立てることも可能だ。安心して手軽に使える薬物フリーなスマートデバイスで、片頭痛だけではなく、あらゆる疼痛治療の新たなアプローチとしても、RENの可能性は広がる。
    American Headache Society Publishes Article Demonstrating the Promise of Remote Electrical Neuromodulation (REN) as First-Line Treatment for Acute Migraine Relief

  • ・スマート病院予約、湾岸諸国に急拡大
  •  UAE(アラブ首長国連邦)のMeddy社は、スマート病院予約プラットフォーム事業において、スタートアップ企業資金調達のシリーズAラウンドで250万ドル(約2.73億円)の獲得に成功した。このプラットフォームの利用者は、フィルタリング機能と口コミ情報を利用し、オンラインで自分に最適な医師の診断予約ができる。また、クライアントである診療クリニックやマーケティングチームに対しては、予約管理、患者の口コミや分析などに使える便利な製品を各種提供し、インターネット上の宣伝効果を高めるアシストをする。2016年の創立以来、Meddy社はカタールとUAEでクライアントの利益増加に貢献し、今やカタール最大のスマート病院予約プラットフォームとなった。2018年にはドバイとシャルジャにビジネスを広げ、間もなくアブダビやその他の地域へも上陸する予定だ。

     シリーズAの主な出資企業は、米Modus Capital社、ルクセンブルクの212Capital社、カタールのQSTP社、UAEのKasamar Holdings社など。Meddy社は、顧客のニーズを丁寧にくみ取り、地域における信頼と付加価値の提供において、ベンチャーキャピタルから高い評価を得ている。Meddy社のハリス・アガディCEOによると、過去6ヵ月間で病院の予約件数と提携医療機関の数は共に倍増しており、延べ10万件以上の予約によって5000万ドルの診察料が提携医療機関に支払われたという。提携医療機関の顔ぶれを見ても、NMCヘルスケア、Zulekha病院、アメリカンホスピタル、Al Zahraプライベートメディカルセンターなど、大手病院の名前が多く連なる。患者が豊富な選択肢を比較検討し、オンラインで自分に合ったベストな診療を選ぶのが当たり前の時代になることで、医療の品質向上にもつながることが期待される。
    GCC Based Meddy -- Doctor Booking Platform Raises $2.5 Million Series A