がんの兆候が現れる前の早期の段階で乳がんの有無が分かる血液検査が現実味を帯びてきた。免疫系では乳がん細胞が産生する腫瘍関連抗原(TAA)に遭遇すると自己抗体が産生されるが、これらの自己抗体を血液検査で検出することで、乳がんを妥当な精度で発見できたという。この研究は英ノッティンガム大学のDaniyah Alfattani氏らが実施したもので、英スコットランドで開催された英国がん研究機構の学術集会(NCRI 2019、11月3~5日、英グラスゴー)で発表された。

 Alfattani氏らは今回の研究で、乳がん患者90人の診断時に採取された血液検体と、乳がんのない女性90人(対照群)の血液検体をタンパク質マイクロアレイと呼ばれるスクリーニング技術を用いて分析。乳がんに関連する40種類のTAAと、乳がんとの関連は不明な27種類のTAAに対する自己抗体の有無を調べた。

 その結果、検査で使用されるパネルに含まれるTAAの種類が多いほど血液検査の精度が高まることが分かった。例えば、5種類のTAAが含まれるパネルでは、乳がん患者から採取された血液の検査で正確に乳がんと判定された割合は29%(感度)、対照群の血液検査で正確にがんがないと判定された割合(特異度)は84%だったが、7種類のTAAパネルでは感度35%、特異度79%となり、さらに9種類のTAAパネルでは感度37%、特異度79%であった。

 Alfattani氏は結果について「乳がんでは特定のTAAに対して自己抗体が産生されることを示すものだ。血液中に含まれるこれらの自己抗体を確認することで、ある程度正確にがんを発見することができた」と説明。また、「開発を進めて検査の妥当性をもっと検証していく必要はあるが、早期の段階で乳がんの兆候を捉えられることを示唆する心強い研究結果だ」とし、精度を向上させることができれば、将来的には血液検査だけで乳がんを早期に発見できるようになる可能性があるとの展望を示している。

 乳がんを専門とする米レノックス・ヒル病院のLauren Cassell氏は、この報告を受けて「将来、単純な検査で乳がんを診断できるようになるのであれば、それは素晴らしいことだ。ただ、この研究では9種類のTAAパネルでも乳がん患者の37%でしか陽性と判定されていない」と指摘。「乳がん検査でこの血液検査が現行のマンモグラフィ検査に代わるまでの道のりはまだ長い」との見方を示している。

 一方、米ノースウェル・ヘルスがん研究所のAlice Police氏は「誰もがマンモグラフィ検査や超音波検査の代わりになる新たな検査法の登場を望んでいるのは事実だ。しかし、血液検査では、がんがあることは分かったとしても、そのがんが体のどこにあるのか、また、どのような治療法が適しているのかについての手掛かりを得ることはできない」と指摘している。

 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものとみなされる。

[HealthDay News 2019年11月4日]

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