米国産ピスタチオはメラトニンの宝庫

【要素技術】

  • ・心臓発作のリスクを計算するデジタルデシジョン(意思決定)ツール
  •  英国の血栓症研究所(TRI)は、心房細動(AF)と診断された患者の治療において、臨床医の意思決定を支援する革新的ツール「GARFIELD-AFリスク計算機」をリリースした。この計算機は、様々な治療オプションによって起き得る心臓発作、大出血、致死率を患者個別に推測し、疾患のリスクスコアを臨床予後診断に生かすことができるユニークなツールだ。

     実は、心臓発作のリスクが非常に低い患者の多くが抗凝固療法(血栓の形成を防ぐために、血液を固まりにくくする治療法)を受けているのに対し、リスクの高い患者の3分の1は抗凝固療法を受けていないという状況がある。このギャップに対処するため、TRIはリスクを迅速に計算するリスクツールを開発。臨床医は、一度の計算でより多くの情報と根拠に基づいた、効果的な決定ができるようになる。この計算機は、年間4万人近いGARFIELD-AF参加者のデータを使用し、2年の間に5万2000人を超える患者データを元に心房細動の発作予防への知識を深めてきた。

     しかし、まだ臨床応用に向けた課題は残る。病気の根本的なリスク要因は危険因子と非線形的(心拍数、血圧)に関連する可能性があるのに対し、リスク計算機は、単純化された二パターン(心不全、高齢)のリスクスコアを使用する場合が多い。また、評価基準をカテゴリーに変換すると、スコア上はそのカテゴリーの全員が同じリスクレベルを持つことになってしまう。

     臨床リーダーのキース・フォックス教授は、「GARFIELD-AFリスク計算機は、年齢、体重、脈拍、血圧の実際の値を維持し、2年間の治療の選択による結果の違いを提示することができる」と説明した。GARFIELD-AFリスク計算機は、誰でもサイトにアクセスすれば、自由に登録することができる。近いうちにリリース予定のアプリ版計算機は、臨床でこれから広く活用されることが期待される。
    Thrombosis Research Institute (TRI) Launches Innovative Risk Calculator for Predicting Stroke, Major Bleeding and Mortality in Atrial Fibrillation Over Two Years

  • ・米国産ピスタチオはメラトニンの宝庫
  •  米ルイジアナ州立大学のジャック・ロッソ教授とミリャント・エボアアウジー氏がAmerican Pistachio Growersと共同開発を行い、アメリカで育てたピスタチオには、他の果物、野菜、シリアル、マメ科植物、シードと比べて、メラトニンの含有量が各段に高いことを発見した。ピスタチオ1個にメラトニンは660ナノグラム含まれる。メラトニンの多い食品として有名なケールでも1gにつきメラトニン含有量は42ナノグラムであるため、その差は歴然だ。

     メラトニンは、脳の松果線で生成されるホルモンであり、私たちの体内時計をコントロールし、睡眠サイクルを制御する働きがある。頻繁な出張や不規則なワークスケジュール、その他様々な要因で引き起こされる不眠症、不規則な睡眠パターンに悩む人々には、メラトニンサプリも有効とされる。

     今回の研究では、ピスタチオにメラトニンが豊富に含まれるだけでなく、2つの生理活性物質、「ルナシン」と「ボーマン・バーク・インヒビター」も含まれ、抗炎症性や抗血管新生活動が見られ、2型糖尿病の管理に役立つことが発見された。さらに、ピスタチオに含まれるルティン、ゼアキサンチン、ポリフェノールにも健康増進作用がある。ピスタチオは美味しくて栄養豊富なスナックのふりをしながら、ビタミンや抗酸化物などをいつの間にか体に届け、私たちの健康と元気にしっかりと貢献してくれる。スーパーで品切れになる前に、たくさん蓄えておこう。
    Study Finds American Grown Pistachios Contain Melatonin

  • ・10人中9人が吸入デバイスを誤って使っている
  •  気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器疾患の治療に使う吸入デバイスを、誤って使用する例が相次いでいる。なんと10人中9人が、使用の際1つ以上の間違いを起こして治療効果を妨げており、4人中1人しか医師から適切な使い方の指導を受けていないという。誤った使用例としては、吸入前に、吸入器のフタを外すのを忘れたり、粉の薬剤を入れ忘れたり、吸うタイミングが早過ぎたり、遅過ぎたりする例が挙げられている。この驚くべきデータは、International Menarini Foundationが協賛する国際シンポジウムで発表され、呼吸器疾患の正しい教育の必要性が見直された。

     チェコ共和国では、50万人が呼吸器疾患を抱える。Hradec Kralove大学病院教授のウラジミール・コブリゼク氏は、「吸入の前に息を吐く必要があるが、患者の多くは息を吐かずに吸入したり、吸入器の中に息を吐いたりしてしまう。また、吸入器を振る必要がないにもかかわらず、吸入前に何度も振ることもある。こうすると、吸入の効果がなくなってしまう。成人は、吸入に5秒、子供は2~3秒使ってゆっくり吸う必要があるが、多くの患者は早く吸い込み過ぎたり、十分に吸い込まなかったりしている」と指摘する。

     吸入器によって、一定に強さでゆっくり吸い込まなければならないものと、素早く、強く吸い込む必要があるものとある。全ての患者が、自分のデバイスの仕組みをしっかりと理解し、使い方をマスターしなければならない。また、調査では90%の患者が4種類の異なる吸入器を保有していることが判明した。理想的なのは、医師により、患者に最もフィットする吸入器を1種類のみ選定してもらい、それだけを正しく使うことである。患者が効果を実感しながら、治療を継続するには、医師がどれだけの時間をかけて患者一人ひとりを教育できるかにかかっている。それこそが医療機関で治療を受ける価値であり、エラーフリーな疾患管理の要だといえる。
    Charles University: Half a Million Czechs Suffering from Shortness of Breath With Nine Out of Ten Using Sprays and Inhalers Incorrectly

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