ゲノム編集技術によりiPS細胞(人工多能性幹細胞)の臨床応用が一気に加速するかもしれません。京都大学iPS細胞研究所(CiRA)教授の江藤浩之氏らのグループが2019年12月27日、輸血後に拒絶反応を起こさないiPS細胞由来血小板の作製に成功したと発表しました。

 iPS細胞による再生医療の実現に向けての大きな課題は、細胞作製から移植までにかかる膨大な手間とコスト。汎用性の高い健常者(他家)のiPS細胞を用いればそれらを大幅に削減できますが、他の移植医療と同様、拒絶反応が問題になります。江藤氏らは、他家の細胞を識別して拒絶反応を起こすHLA(ヒト白血球型抗原)の発現をゲノム編集により欠失させたiPS血小板の製造に成功。健常人ボランティアの血液から単離した、他家の細胞を攻撃するNK細胞などとの共培養実験を行ったところ、拒絶につながる免疫反応は起きなかったとのことです。

 現在、様々な領域でiPS細胞を用いた再生医療に関する臨床研究や治験が進行中ですが、最も実用化に近いとみられているのが、東京大学医科学研究所教授の中内啓光氏と江藤氏らが開発したヒトiPS細胞由来の巨核球(血小板を産生する造血系細胞)を不死化・凍結保存する技術を基にした輸血用血小板製剤。メガカリオン(京都市下京区)というバイオベンチャーがその開発を進めていますが(関連記事:狙うは全自動の血液工場)、今回の研究成果をきっかけに実用化に向けた動きが加速しそうです。(大滝 隆行=Beyond Health)


以下では、2019年12月23~27日に配信されたプレスリリースの中から編集部がピックアップしたものを【ビジネス】【プロダクト/サービス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(WebサイトやPDFなど)に移動します。

【ビジネス】

【プロダクト/サービス】

【要素技術】

(タイトル部のImage:jalisko -stock.adobe.com)