近い将来、血液検査を受ければ、老化の進み具合を判定できるようになるかもしれない──。そんな研究結果を、米スタンフォード大学アルツハイマー病研究センターの共同ディレクターを務めるTony Wyss-Coray氏らが「Nature Medicine」12月号に発表した。

 Wyss-Coray氏らは今回、18~95歳の男女4,263人を対象に、血漿(血液から細胞成分を除いた液体成分の一つ)中の2,925種類のタンパク質を測定し、分析。このうち373種類のタンパク質が老化と関連することを突き止めた。

 Wyss-Coray氏は「リポ蛋白の値が心血管の健康度の指標であるように、血液中の特定のタンパク質を測定すると健康状態に関する情報が得られることは長く知られている」と話す。しかし、同氏らによれば、今回の研究で測定したタンパク質のうち、約3分の1の値が加齢とともに明らかに変化したという結果は予想外だったという。

 この結果について、Wyss-Coray氏は「体を構成する細胞成分の多くはタンパク質が占めている。それらが相対的に大きく変化するということは、人間の体全体にも変化が起こっていることを意味する」と説明。「血漿中の数千ものタンパク質を測定すると、体全体で起こっている変化を表すスナップショットが得られることに等しい」と話している。

 また、この研究から、肉体的な老化は一定の速度で進むわけではなく、そのスピードは変則的で、34歳と60歳、78歳のときにピークを迎えることも分かった。Wyss-Coray氏らによれば、これらの年齢の時点で、血漿中の特定のタンパク質の値が明らかに上昇していたという。

 これらの結果を踏まえ、Wyss-Coray氏らは、将来、血液検査で特定のタンパク質を測定すれば、老化の進行度や、アルツハイマー病や心疾患など加齢が大きく関与する疾患の発症リスクを調べられるようになるとみている。また、このような血液検査は、老化を遅らせたり早めたりすることが可能な薬剤の開発や、老化に影響する他の因子を特定するのにも役立つ可能性があるという。ただし、同氏らは「この血液検査を実用化するまでには、少なくとも5年から10年はかかる見通しだ」と付け加えている。

 Wyss-Coray氏らは「われわれの研究の目標は、食べた物や日常的な行動が生理的年齢に与えている影響を明らかにすることだ」と今後の展望を語っている。

[HealthDay News 2019年12月5日]

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