世界最大級のエレクトロニクスショー「CES 2020」が1月7日から10日まで、米ネバダ州ラスベガスで開催されました。モビリティーからVR(仮想現実)/ AR(拡張現実)まで世界中から最新のテクノロジーが集結する中、ヘルスケア関連の製品も大きく取り上げられました。例えば、オムロンの腕時計式ウエアラブル血圧計、台湾LuftQi社のナノ光触媒ミニ空気清浄機、米Colgate社のコーチング電動歯ブラシ、台湾TFT社の食品アレルゲン検知システム、台湾Yunyun社のAIスマートベビーモニターなど。今回は、データ時代をけん引するデジタル技術と斬新なアイデアの見本市であるCES 2020での話題を中心に、ウエルネスとヘルスケアの最新情報をお伝えします。


以下では、2020年1月6~10日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【ビジネス】【プロダクト/サービス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【ビジネス】

  • ・心臓発作・脳卒中ゼロを目指すオムロンのウエアラブルデバイス
  •  Consumer Electronics Show 2020 (CES2020)は全米民生技術協会(CTA)が主催する電子機器の見本市であり、一般公開はされていない。展示会には多くの新製品が出品され、初めて公に発表されるプロトタイプ(試作品)を一目見ようと、世界中から業界関係者が足を運ぶ。

     今年、オムロンは、人間のスキルを模倣するロボットやスマートファクトリー(自動工場)、パーソナルヘルスケアデバイスなど様々な製品を発表し、電子機器の未来を提示した。人間とロボットの調和に焦点を当て、最先端のロボティクス、センサー技術、AI(人工知能)を使って課題解決に挑む。ヘルスケア部門では、心臓と呼吸器、ペインマネジメントツールを開発している。「Going for Zero(ゼロを目指す)」を合言葉に、デジタルヘルスケアの技術とサービスを革新し、心臓発作や脳卒中を完全に予防することを目指す。CESのブースの一つでは、「Heart Guide」と呼ばれる、世界初のウエアラブル血圧測定器が展示された。この血圧測定器は腕時計のように腕に装着するタイプのもので、オシロメトリック法で正確な数値を計測する。「HeartAdvisor」と呼ばれるアプリと連動し、高血圧のユーザーが日々の行動を変え、健康的な生活を送れるようアシストしてくれる。

     オムロンが開発しているのは「検知と制御+自分で考える」テクノロジーだ。CESでは、今年もオムロンの「FORPHEUS」という、AIロボティクスを使った卓球のロボットコーチにも注目が集まった。Square Enix社とのコラボレーションで作られたFORPHEUSは3年連続でCESに登場しており、今回バージョン6が発表された。FORPHEUSは、コーチをしながら選手の感情をリアルタイムに理解し、選手のモチベーションやスキルに合わせて打ち返すボールのスピードをうまく調整する。こうして、選手の上達度を最大限に引き上げることができる。このインテリジェント・テクノロジーを今後、ヘルスケア分野や介護施設にも活用し、患者の感情を理解することでより一人ひとりに合ったケアが提供できると期待される。
    At CES 2020, OMRON Showcases Technology Created To Solve Societal Issues And Improve Livesr

  • ・世界初、レーザーによるインプラント・コンタクトレンズ手術
  •  マレーシア最大の眼科専門企業であるVista Eye Specialist社は今回、「No-Blade ICL」という新インプラント・コンタクトレンズ(ICL)を発表。世界で初めて、Ziemer LDV Z8 Femtosecondと呼ばれる、レーザーとVisian EVO ICLを組み合わせたICL手術を行い、話題を呼んでいる。ICLは、眼内コンタクトレンズとも呼ばれ、小さなレンズを目の中に移植して近視や乱視を矯正し、裸眼視力を回復させる新たな視力矯正手法だ。ICLを使った手術は、回復の速さと視力矯正効果の高さ、またドライアイにならない点で、近年人気を集めている。

     従来のICL手術では、医師は眼球に3mmの切り込みを入れてから、ICLの位置を調整するためにさらに細かい切開を行う必要がある。手術の効果は、医師の腕前や使用するツールに大きく依存してきた。VISTA社のチーフ・コンサルタントで眼科医のアロイシウス・ジョセフ・ロー博士は、「白内障の手術がレーザーで行われるようになり、ICL手術を受ける患者は刃で切り込みを入れる、昔ながらのICL手術の手法を疑問視するようになってきた」と指摘する。

     LDVZ8は、低エネルギーのレーザーコンセプトにより、縫合を必要としない、高精度のレーザー切開を実現。乱視を矯正しながら副作用と術後の炎症を抑え、角膜への処置を最小限にとどめて患部の治癒を早めることができる。最近の患者は、手術の後いつもの生活にすばやく戻れることを望むとともに、安全と治療効果に最高の水準を強く求めるようになってきた。Vista社が世界で初めて、白内障手術と同様のフェムトセカンドレーザー手法によるICL手術に成功したことで、マレーシアの眼科医療が一気に世界の注目を集めそうだ。
    VISTA Eye Specialist bringing vision correction to a whole breakthrough level of safety

  • ・最軽量のナノ光触媒ミニ空気清浄機、空気中のアレルゲンも除去
  •  「Luft Cube」と呼ばれるミニ空気清浄機がCES2020で紹介された。ナノ光触媒による清浄テクノロジーを使い、空気中に含まれるカビや細菌、花粉、PM2.5(微小粒子状物質)などの有害物質やアレルゲンを効率的に分解し除去する。このミニ空気清浄機を開発したのは、台湾のLuftQi社だ。同社は、今まで取り除くことができなかったアレルゲンを分解する技術を開発。これは、屋内の空気の品質を高め、呼吸器の健康を改善する革新的なテクノロジーだ。Luft Cubeは、空気清浄器のゲーム・チェンジャーとして評価され、台湾エクセレンス賞とCESイノベーション賞を受賞した。

     生きるために不可欠な3つの要素といえば、太陽光と水、そして空気だ。LuftQi社は空気に焦点を当て、LEDテクノロジーを活用した空気の品質向上と健康増進を目指す。このままグローバルな都市化が進めば、2030年には、世界の人口の8分の1が、33の大都市に集約されるという説がある。人口密度が高まることで、大都市の空気汚染は間違いなく進むだろう。さらに、世界保健機構(WHO)の統計によると、世界ではおよそ700万人が毎年空気汚染や空気中のアレルギー物質が原因で死亡している。

     LuftQi社は6回にわたるクラウドファンディングで資金を調達し、同社が最初に打ち出したPoC(有効性を検証するための)製品に6つの技術改良を加え、今回のミニ空気清浄機を開発。市場に出ている空気清浄機の中で最軽量を実現。電気消費量はたったの2.5Wと省エネだ。フィルターを使用しないため、付け替えるコストや二次汚染の心配もない。LuftQi社はまだまだ技術革新を進めており、創立者のタイタス・チャン氏は殺菌力や分解能力が今後2倍に進化すると宣言する。データ収集とビッグデータ分析用のセンサーも搭載、会員制の新たなビジネスモデルを開始する計画だ。
    Led by Taiwan Tech Arena, LuftQi Is Committed to Developing Non-Consumable Nano Photocatalytic Purification Technology to Improve Air Quality and Health