新型コロナウイルス対策に、ドローン(小型無人機)を活用する新たな取り組みが始まりました。ドローンは空間を360度自由自在にパトロールし、40倍のズームカメラで地上の状況を遠隔観察できます。マスクをせずに公共の場を歩いている人や、発熱している人をサーモグラフィーで見つけると、ドローンに搭載されたメガホンから操縦士が警告を発して、人から人への感染を現場レベルで防止するそうです。また、人が集まりやすい場所に殺菌スプレー剤を噴霧するなど、中国では発生地の武漢市を中心に、ドローンを使ったユニークなウイルス対策が始まっています。


以下では、2020年2月10~14日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【ビジネス】【プロダクト/サービス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)にリンクいたします。

【ビジネス】

  • ・ドローンでウイルス感染を遠隔モニタリング
  • サーマルカメラとメガホンを搭載したMMCドローン(出所:MMC社プレスリリース)

     中国湖北省の武漢市で新型コロナウイルスが発生、2020年は中国にとって波乱の幕開けとなった。武漢市を中心に、各都市がウイルス感染防止に取り組んでいる。中でもShenzhen MicroMultiCopter(MMC)社はドローンを使った予防策を打ち立て、200人のサービスチームと100機以上のドローンを投入し、上海、広州、肇慶、仏山などの各地域で、第一線でウイルスと戦う医療スタッフの感染リスクを食い止めるべく動き出した。

     ドローンが果たす役割は主に4つ。1つは、継続的なパトロールと警告発信。ドローンは空間を360度自由自在にパトロールすることができ、40倍のズームカメラで地上の状況を遠隔観察できる。集団で集まっていたり、マスクをせずに公共の場を歩いている人を見つけると、ドローンに搭載されたメガホンから操縦士が警告を発する。日替わりで異なる地域のパトロールを広範囲で実施することが可能だ。

     2つ目は、殺菌スプレー。駅やスーパーなどの公共エリアで必要に応じてドローンが直接殺菌剤を散布することができる。3つ目は、サーマルカメラの搭載。サーマルカメラとは熱を探知するカメラであり、サーモグラフィー(熱画像装置)を使ってモノ全体の面の温度を計測することができる。ドローンが人の集まりやすい所にいる人の体温を自動で感知し、ウイルスに感染している可能性のある人を特定し、その場から離れるように促す。4つ目は、交通管理。2月1日から、MMCチームは警察と共同で高速道路の各地点で活動を開始。交通量や渋滞を計測し、交通がスムーズに流れるよう素早い対応を可能にする。

     ドローンにより、今まで人手を使っていた作業が自動で行えるようになったとして、中国の警察の間でも好評だ。MMC社会長のルー・ツイーフイ氏は「ウイルス感染問題が深刻になるにつれ、最初はパトロールのみに使用されていたドローンの用途をもっと広げるべくR&Dチームが立ち上がり、ドローン活用の機会が増えてきた」と述べた。ドローンの新たな役割として、ウイルス感染対策のための利用の可能性が広がる。
    MMC's drones used in the battle against the new coronavirus outbreak

  • ・車載システムがドライバーのマスク着用をチェック
  •  中国全土に新型コロナウイルス感染が拡大している。感染率が高く、潜伏期間の長いウイルスの特徴により、感染を食い止めることが難しく、苦戦が続く。そんな中、医療スタッフをはじめ、様々な企業が新テクノロジーを駆使し、闘いをサポートしている。スーパーの無人レジやサーマルイメージングで体温を感知するAI(人工知能)ロボット、ドローンによる遠隔監視システムなどが、非常時に活躍するツールとして見直されている。交通セクターでは、タクシーのオンライン予約と配車サービスを提供する中国Shouqi Limousine & Chauffeur社の車載インテリジェンス(CI)システムに新機能が加わり、ドライバーがマスクを付けているかどうかを検知できるようになった。乗客とドライバーの双方にとって有益な感染予防措置だ。

     ウイルスの空中感染を予防するには、マスクが最も重要だ。Shouqi Limousine & Chauffeur社では、業務中全てのドライバーにマスクの装着を義務付けている。新たなシステムの機能が、マスクをしていないドライバーを特定すると、ドライバーに対してリマインダーやメッセージを自動送信し、それでも違反が続くとサービスを強制的に終了させ、乗客を乗せられないようにする仕組みだ。

     疾病管理における中国政府の権限、社会統治力、科学技術力は、今回の新型コロナウイルス感染を機に大きく飛躍している。クラウドコンピューティングやAI、ビッグデータなどの先端テクノロジーが進展し、国家の安全のために各企業が取り組みを強化している。新型コロナウイルス危機を乗り越えた時、中国企業のテクノロジーが新たな段階へと進むと期待されている。
    Empowered by technologies, the Chinese company Shouqi Limousine & Chauffeur has declared war on coronavirus outbreak

  • ・Pharmacy3.0を実現する次世代型スマート薬局
  •  ドラッグストアを訪れる顧客に提供する、次世代型マーケティングソリューションのショールームが完成した。PRN Health部門の一部であるiDKlicは、欧州のリテール薬局のデジタルマーケティングソリューションのリーダーであり、米STRATACACHE社グループの一員だ。今回、iDKlicはブリュッセルに新たなリテール薬局デジタルセンターを設立。実際の薬局にそっくりなショールームを作り、シミュレーションで店内マーケティングを体験することができる。ここに来ると、顧客の視点からカスタマーエクスぺリエンスを見直し、次世代型薬局の店内マーケティングが生み出す価値を体験できる。薬局の店内をより機能的に活用するための、最新のスケーラブル(拡張可能な)テクノロジーが紹介されている。どんなものがあるか、見てみよう。

    iDKlic社のショールーム(出所:iDKlic社プレスリリース)

     例えば、「ラージフォーマット・デジタル展示画面」は、データに基づいた日替わりお薦め商品や特売品を効果的に提示し、顧客の眼を引きつける。「リフト・アンド・ラーン」と呼ばれるテクノロジーは、顧客が商品を手に取ると、その商品がスクリーンに映し出され、顧客が知りたい情報を詳細に解説してくれる。「体の症状を診断するインタラクティブ・キオスク」は、顧客の体調に合わせて的確に情報を発信し、顧客に合った薬をお薦めするサービスだ。これらは「Pharmacy3.0」と呼ばれる、次世代型薬局のコンセプトに基づき、顧客が快適に買い物を楽しめるだけでなく、店舗空間と一体となり、思いもよらない商品との出会いを楽しむ場として、薬局の新たな価値創造を目指している。

     iDKlicの設立者であり、CEOのジーン・チャールズ・フィゴニ氏は、「デジタルテクノロジーにより、従来の薬局がPharmacy3.0でスマートストアにどのように変革されるかを、ショールームで体験できるようにしたい。スマートストアでは、お客さんの買い物を積極的にサポートし、より効果的な商品ガイダンスを提供できる。実店舗をデジタル化し、対話型なディスプレーを導入することで、ショッピング体験を1人ひとりのニーズに合わせて個別化できるようになる」と語る。インテリジェント・ビジュアル・ディスプレーと、顧客のショッピング嗜好・行動を分析するSTRATACACHE社独自の店内アナリティクスプラットフォームを活用すれば、顧客の買い物中の行動に丁寧に対応し、購入の意思決定をサポートしながら、薬局店舗の売り上げを伸ばすことが可能になる。
    PRN Announces iDKlic Opening Belgium-Based Pharmacy Retail Technology Showroom