ウエアラブルな経頭蓋磁気刺激装置が脳卒中患者の運動機能の回復に有用な可能性があるという研究結果を、米ヒューストン・メソジスト病院、エディ・スカーロック脳卒中センター長のDavid Chiu氏らが国際脳卒中学会(ICS 2020、2月19~21日、米ロサンゼルス)で発表した。脳卒中患者が水泳帽のような形をした磁気刺激装置を1日40分ほど頭に被ったところ、損傷部位付近の活動が増加したという。このデバイスを開発した同氏らは、小規模で予備的な研究ではあるが、「今回認められた脳活動の改善は、脳卒中患者の運動機能の向上につながる可能性がある」と期待を示している。

 Chiu氏らは今回、虚血性脳卒中発症から3カ月以上が経過し、片麻痺のある30人の患者を対象に、開発した経頭蓋磁気刺激装置の安全性と有効性を検討するランダム化二重盲検の比較試験を実施した。このような慢性の虚血性脳卒中患者を対象とした理由として、同氏は「一般に脳卒中発症から3カ月が経過すると神経機能の自然回復は見込めない。そのため、脳機能や運動機能に改善が見られた場合は、デバイスの効果である可能性が高いことが分かる」と説明している。

経頭蓋磁気刺激装置(写真:Blessy John)

 このデバイスは非侵襲的なもので、複数の超小型磁気刺激装置を取り付けた水泳帽のような形をしており、スマートフォンで操作ができる。対象患者の半数には、このデバイスを1セッション当たり40分間装着してもらい、4週間にわたり計20回の磁気刺激療法を行った。残りの半数にはプラセボ治療を行い、治療前、治療直後および治療から1カ月後の時点の脳活動を機能的MRIで評価した。

 その結果、磁気刺激療法を行った群では、プラセボ治療を行った群と比べて脳の活動量が約9倍であり、脳活動が有意に増加したことが分かった。また、握力や歩行速度などの身体機能にもある程度の改善が認められ、このような変化は3カ月後にも維持されていたという。