全ての種類のインフルエンザウイルスに対して予防効果がある「ユニバーサル・インフルエンザ・ワクチン」の開発が急速に進行している。英ロンドンに本社を置く製薬企業SEEKacureの最高科学責任者Olga Pleguezuelos氏らは、FLU-vと呼ばれるユニバーサル・インフルエンザ・ワクチンの1回接種で、複数のインフルエンザウイルス株に対して長期間の予防効果が示され、安全性も確認されたとする後期第II相臨床試験の結果を「Annals of Internal Medicine」3月10日オンライン版に発表した。

 今回の試験では、18~60歳の健康な成人175人を、FLU-vを接種する群とプラセボを接種する群にランダムに割り付け、接種後0日目、42日目、180日目に免疫系に関わるさまざまなバイオマーカーを測定した。その結果、FLU-v接種群で、プラセボ接種群よりも高い免疫応答が得られたという。

 米疾病対策センター(CDC)によると、米国ではインフルエンザに罹患した患者数が今シーズンだけで4900万人に上り、このうち62万人が入院し、5万2,000人が死亡した。

 現在のインフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスの表面にあるタンパク質を標的とする抗体の産生を誘導する。しかし、残念ながら、誘導された抗体が標的とするウイルスの領域は頻繁に変異するため、それに合わせて新たなワクチンを開発する必要がある。一方、FLU-vは、インフルエンザウイルス株間でも構造に大きな違いがないタンパク質を標的とするため、ウイルスが別の形に変化して免疫系から逃れる可能性が低いという。