日立製作所は、再生医療等製品に関するバリューチェーン全体の細胞・トレース情報を統合管理するプラットフォームを構築した。厳格な品質管理と情報のトレーサビリティが必要となる再生医療等製品に関して、検体の個体識別と細胞の採取、生産、輸送、投与の情報トレースができる。

 アルフレッサや製薬企業、医療機関などの関係各所との協創を通じて構築した。運用テストを経てする予定。アルフレッサはファーストユーザーの1社となる。

 バリューチェーンに関わる全てのステークホルダー(医療機関、製薬・物流・製造企業など)が利用可能な共通サービス基盤と位置付ける。各社は自前の管理システムが不要となり、業務・企業間のシステムの違いから発生する煩雑な管理が軽減される。データを一元管理できることから、迅速かつ安心・安全に事業を進めることが可能になるとしている。

今回のプラットフォームの概念図(出所:日立製作所)

 今回のプラットフォームの特長として次の4つを挙げている。

(1) システム構築経験と日立のソリューションを組み合わせて情報統合化を実現
 大学や医療機関などにおける再生医療案件での患者IDと作業指示データのひもづけを行った経験・ノウハウを活用してシステムに反映。細胞の採取、生産、輸送、投与などのサプライチェーン上の品質情報をトレースするために、製造業で実績がある日立の「IoTコンパス」を情報基盤に採用。

(2)各ステークホルダーとの協創により、高い実用性を確保
 患者の細胞や再生医療等製品の輸送・保管に関わる部分はアルフレッサ、治験薬や再生医療等製品の製法開発・製造に関わる部分は受託製造企業、患者の細胞の採取から再生医療等製品の投与に至る全体プロセスや情報のトレースは製薬企業やバイオベンチャーの知見を活用。実際の業務に照らして検討し、幅広い多くのステークホルダーにとって標準的な利用を目指した仕様とした。

(3)全行程を網羅したスケジューリングや受発注管理が可能
 治療・製造の計画段階や細胞の採取から再生医療等製品の投与に至る過程において、さまざまな理由で発生するスケジュール変更の管理が重要となる。各ステークホルダーの状況を共有しながら、全バリューチェーンを網羅した最適なスケジューリングの立案・変更や受発注管理を一括で行うことが可能。将来的には、各計画の実績に基づき自動的にスケジューリングを行うなどの機能を拡張する予定。

(4)サプライチェーン全体を見通した分析やシミュレーションが容易
 情報基盤に採用した「IoTコンパス」は、設備の稼働状況や品質情報などのOTデータと、計画や在庫管理などのITデータをデジタル空間上でひもづけることで、継続的かつタイムリーなAI分析やシミュレーションを容易にし、生産工程全体の最適化を図る。これにより、細胞採取から投与までの工程全体を見通した分析やシミュレーションによる効率化・生産性向上を支援する。


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