がん患者のうつ病が十分に治療されていない可能性を示唆する、国内研究の結果が報告された。名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野の明智龍男氏らが、企業健保組合の保険請求データを解析した結果、明らかになった。研究の詳細は、「Clinical Drug Investigation」に10月18日掲載された。

 がん患者はうつ病を発症しやすいことが知られている。メタ解析の結果から、がん患者(緩和ケア受療者以外)の大うつ病有病率は14.9%であり、小うつ病は19.2%と報告されている。また、がん診断後1年以内の自殺リスクは一般人口の約24倍に上ることが、国内の研究で示されている。しかし、がん患者のうつ病に対し、どのような治療が行われているかは明らかになっていない。

 明智氏らは、企業健保組合の保険請求データを用いた研究により、がん診断後の患者の大うつ病性障害(MDD)のリスクが、がんではない人の約3倍であることを既に報告している。今回の研究では、同様の手法によって、がん診断後にMDDと診断された患者に対する薬物治療の実態を解析した。