日本メドトロニックが提供する、てんかんの定位的深部電極挿入術および脳腫瘍生検術に用いるロボティックシステム「脳神経外科手術用ナビゲーションユニット ステルスAutoguide(オートガイド)」が2021年2月1日に保険適用された。同社によれば、ナビゲーションと連動する、初の脳神経外科手術支援ロボットだという。

 てんかんの治療法には薬物療法と外科療法があり、薬物療法で発作が抑制されない難治性てんかんに対して、外科手術による治療が検討される。てんかんの患者数は日本全体で約100万人といわれており、その2~3割が難治性てんかんだという。

 外科治療の対象となるのは、発作の始まる部分(焦点)が特定できる部分てんかん(側頭葉てんかん等)で、かつその部分を切除しても障害が残らない場合に外科治療(焦点切除)が可能となる。焦点切除を行うには、てんかんの発作がどこで始まっているのかを正確に同定する必要がある。焦点を同定するための検査として硬膜下電極留置が広く行われるが、開頭を伴うため患者の身体的負担が大きいことに加え、脳の深部領域の測定が困難だった。

 脳深部に挿入した電極からてんかん波をとらえる定位的深部電極挿入術(sEEG)という手法もある。ただし、正確な同定には10~24本の電極を挿入することが必要と考えられており、現状では手術時間が10時間を超えるため、国内ではほとんど実施されていないという。

ステルスAutoguide(出所:日本メドトロニック)

 これに対してステルス Autoguide は、術前に作成した手術計画に基づき、ステルスステーションナビゲーションシステムと連動することで、高い精度が求められる電極を挿入する位置と脳深部の測定位置の両方の位置合わせをロボット制御により自動で行う。多数の深部電極をより短時間かつ高い精度で挿入することができるようになり、大きな侵襲(開頭)を伴う硬膜下電極留置を代替することが期待される。実際、sEEGの普及が進む欧米、中国では定位手術ロボットの導入により、深部脳波測定の件数が硬膜下電極測定を上回る流れが見られているという。

 なお、ステルス Autoguide は、脳腫瘍の治療方針を決定するために、画像検査での診断をもとに、腫瘍組織そのものを生検針で採取し、脳腫瘍の種類や悪性度を詳しく診断する脳腫瘍生検術にも保険適用された。画像検査で得られたデータをもとに、脳腫瘍の位置情報から作成した手術計画に基づいて自動で脳腫瘍生検のためのルートを決定するため、正確な組織片の採取に役立つとしている。


(タイトル部のImage:f11photo -stock.adobe.com)