奈良県三宅町と、医療データ解析と生活習慣病の重症化予防支援事業を手がけるPREVENT(名古屋市)は、国民健康保険加入者のレセプトデータ・健康診断データを基に、同町民の生活習慣病の重症化リスクを可視化する実証実験の結果を公表した。両者は2020年11月に実証実験を行い、結果を町の今後の健康推進施策に生かすことを目的に連携協定を締結。この協定に基づき今回、町民約500人のデータを解析した。三宅町では解析結果を町のデータヘルス計画策定などに生かしたい考えだ。

 実証実験は、現在の生活習慣病の管理状況から、5年後にどれだけ重症化する可能性があるかのリスク分析をし、将来予測を行うという内容だ。解析対象は、同町の国民健康保険加入者のうち2020年度特定健診を受診した人で、約70%が65歳以上だった。また、対象者のうち約半数が生活習慣病で通院中(既往者)であり、さらにそのうちの約半数が、疾病ごとにガイドラインに基づいて設定した目標管理基準の数値を満たしていない数値管理不良の状態だった。

実証実験におけるデータ解析の対象者は65歳以上が70%を占めた(資料:PREVENT)
実証実験におけるデータ解析の対象者は65歳以上が70%を占めた(資料:PREVENT)
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生活習慣病既往者の半数が管理不良だった(資料:PREVENT)
生活習慣病既往者の半数が管理不良だった(資料:PREVENT)
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 既往者に対して、PREVENTが開発した重症化予測モデルを基に生活習慣病の重症化に至るリスクの分析を行ったところ、既往者の約半数(全体の25%)が、「5年以内の重症化リスクが約20%以上」のハイリスク者に該当した。リスク分析は、5年以内に脳血管疾患・虚血性心疾患の新規発症および高血圧・脂質異常症・糖尿病の新規治療が発生する確率を算出した。

「5年以内の重症化リスクが約20%以上」である高リスク者は分析対象者の25%(資料:PREVENT)
「5年以内の重症化リスクが約20%以上」である高リスク者は分析対象者の25%(資料:PREVENT)
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 PREVENTによると、同社がこれまでデータ解析を行ってきた社会保険(企業の健康保険組合)加入者の分析結果と比べると、三宅町は、生活習慣病既往者に占めるハイリスク者の割合が高い結果となった。これは、65歳以上の人が多く加入する国民健康保険の加入者を対象としたため、企業の健康保険加入者とは年齢分布が大きく異なることが影響していると推定される。一方で、65歳未満でもハイリスクの判定が出ている対象者もいたことから、働き盛り世代を含む若年層においても、生活習慣病の重症化を予防することは重要だと提言している。

(タイトル部のImage:f11photo -stock.adobe.com)


出典:「新・公民連携最前線」2021年6月18日付の記事より