健康診断を受けた後に、「要指導」や「要医療」の通知が来ても放置している人が少なくない。そのような人たちに再度、受診を促す通知を送ることで、どのくらい受診率の上昇を期待できるかを分析した結果が報告された。京都大学大学院医学研究科の星野伸晃氏・中山健夫氏(健康情報学)らが行った、後ろ向きコホート研究の結果であり、詳細は「Journal of Occupational Health」に5月11日掲載された。

 国内では年1回、特定健康診査(特定健診、メタボ健診)が実施されている。特定健診の受診後に、指導や医療を受けることを促す通知が送られた人のうち、実際に受療行動を行うのは20~30%に過ぎない。健診による疾患予防や早期治療の効果を最大化するためには、受診勧奨後の受診率を高める必要があるため、近年はそのような人たちに対して、郵便による再度の受診勧奨(リマインド)がなされている。しかしその効果は明らかになっていない。

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 中山氏らは、医療費請求の行政データベースを用いてこの点を検討した。検討対象は、リマインドを送付している製造業関連8健保組合のうち、送付タイミングを検診受診から6カ月後と定めている健保組合の被保険者。この条件を満たす被保険者数は、2014年度2万2,162人、2015年度2万1,074人、2016年度2万4,526人、2017年度2万5,580人だった。

 リマインドの効果は、血圧、血糖/HbA1c、血清脂質の検査値異常者に関して解析した。このうち血圧が基準値を超えていて、かつ医療管理下にない人は、2014年度1,739人、2015年度1,693人、2016年度2,002人、2017年度2,144人だった。

 血圧が基準値を超え、かつ医療を受けていなかった人の中で、健診受診から1年以内に医療機関を受診していた人の割合は、25.5%(2014年度)~31.7%(2015年度)の範囲だった。1年以内に医療機関を受診した人の約半数は健診後の翌月までに医療機関を受診し、それ以降は経時的に減少。リマインドを行った6カ月後には受診率がやや上昇し、その後はまた低下するという波が見られた。例えば2017年度の健診後1年以内の受診者全体を100%とすると、健診受診と同月の医療機関受診者の割合が20.9%で翌月は27.7%であり、2カ月目以降は11.1%、3.8%、4.3%、3.4%と推移。6カ月目に11.6%となり、7カ月目5.4%、8カ月目2.1%だった。

 血糖/HbA1cが基準値を超えていて、かつ医療管理下にない人は、2014年度から順に327人、354人、441人、490人であり、健診受診から1年以内に医療機関を受診していた人の割合は、70.6%(2015年度)~73.3%(2017年度)と、検討した3つの検査値異常の中で最も医療機関受診率が高かった。その半数強は健診後の翌月までに医療機関を受診し、6カ月後のリマインドにより医療機関受診率が上昇していた。例えば2017年度では、健診から1年以内の医療機関受診者全体に対して、5カ月目に受診した人の割合が2.5%であるのに対し、6カ月目は12.0%だった。

 血清脂質が基準値を超えていて、かつ医療管理下にない人は、2014年度から順に1万963人、9,102人、1万1,041人、1万1,519人と、3つの検査値異常の中で最も該当者が多く、健診受診から1年以内に医療機関を受診していた人の割合は、16.8%(2014年度)~22.6%(2015年度)と、最も低い傾向にあった。6カ月後のリマインドにより、医療機関受診率が上昇していた。2017年度の検診後1年以内の医療機関受診者全体に対して、5カ月目が2.9%、6カ月目は13.3%だった。

 この結果を著者らは、「リマインド送付後に、若干ではあるが医療機関受診者の増加が期待できる」と結論付けている。その上で、「より多くの対象者に受療行動を促すためには、複数の手段でリマインドするなど、さらなる対策が必要と考えられる」と述べている。

 なお、1名の著者が医薬品企業などとの利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

[HealthDay News 2021年6月21日]

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