国立がん研究センターは、肺がん患者の遺伝子解析結果とその結果に関連する臨床試験情報を患者に直接提供するプロジェクト「LC-SCRUM-Support(エルシー・スクラム・サポート)」を2021年8月2日に開始した。患者の居住地域や通院施設によらず、情報を必要とする患者のニーズに応えていく。有効な治療を適切な患者へいち早く届け、治療・診断薬の開発並びに個別化医療の確立を推進することを目指す。

イメージ画像(出所:Getty Images)
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 肺がん遺伝子スクリーニングネットワーク「LC-SCRUM-Asia(エルシー・スクラム・アジア)」の新たなプロジェクトとして実施する。LC-SCRUM-Asiaには、これまでに1万3000例を超える肺がんの患者が登録され、様々な分子標的薬や遺伝子診断薬の開発に貢献してきた。しかし、LC-SCRUM-Asiaで遺伝子変化が陽性と判明したにも関わらず、対象となる臨床試験へ登録された患者の割合は約5%。治療開発に十分に貢献できていない現状があったという。

 その原因の一つは、臨床試験に関する情報へのアクセスの難しさ。そこで、臨床試験の情報を広く提供することで、治療開発や診断薬開発をサポートし、個別医療の確立を推進することを目的に開始したのが、今回のプロジェクトである。

LC-SCRUM-Support の概要(出所:プレスリリース)
LC-SCRUM-Support の概要(出所:プレスリリース)
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 今回のLC-SCRUM-Supportでは、LC-SCRUM-Asiaの遺伝子解析によって治療の対象となる遺伝子変化が判明した患者、または患者の近親者を対象に、電子メールアドレスの登録に関する同意を得た上で、遺伝子解析結果および現在進行中の臨床試験情報を電子メールで提供する。プロジェクトに登録した患者や近親者に臨床試験情報を直接提供することで、患者の居住地域や通院施設によらず、情報を必要とする患者のニーズに応えることが可能になるとしている。

進行中の臨床試験がある場合の電子メールの本文内容例(出所:プレスリリース)
進行中の臨床試験がある場合の電子メールの本文内容例(出所:プレスリリース)
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 今回のプロジェクトに同意した患者は、本人または近親者の電子メールアドレスを1つ登録する。登録された電子メールアドレスは、研究事務局の管理下でデータベース化し、個人情報として厳密に保管する。臨床試験の情報に更新があった場合も、適宜電子メールで通知する。なお、プロジェクトへの参加を希望しない患者には、従来通り、担当医を通じて情報提供が行われる。


(タイトル部のImage:f11photo -stock.adobe.com)