総合光学機器メーカーのタムロンと奈良先端科学技術大学院大学は、広角撮影が可能な眼底カメラを開発、研究成果を2021年9月13日に開催された「第82回応用物理学会秋季学術講演会」で発表した。撮影の視野角は約180度であることを確認したとする。瞳孔を広げるための散瞳剤(点眼薬)を使用することなく、広範囲の眼底像を取得できるという。

 日本人の主な失明原因である緑内障や網膜色素変性症、糖尿病網膜症による失明を防ぐには早期発見が重要で、定期的な眼底撮影検査が有効な手段となっている。現在、健康診断で用いられる普及型の眼底カメラは視野角が60度程度で、眼底の一部しか検査できていない。もっと広い視野角で眼底を撮影し検査できれば、疾病を早期に見つける確率を高められる可能性がある。

広範囲180度の眼底撮影を可能にする(出所:プレスリリース)
広範囲180度の眼底撮影を可能にする(出所:プレスリリース)
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 今回のカメラは、大きく二つの技術により実現した。一つは、タムロンが試作した超広角レンズ。瞳孔を通して広範囲な眼底を撮影するため、同社の高度なレンズ設計技術を生かした。

 もう一つは、奈良先端大が開発した近赤外光の照明技術。瞳孔から近赤外光を眼底の広い領域に安定的に照射する技術である。この二つの技術の組み合わせによって、超広角の眼底撮影が実現したという。

 タムロンは今後、医学部との連携により医学的な価値を確認した後に、既存の眼底カメラメーカーと協業して製品化を目指す予定だとしている。


(タイトル部のImage:f11photo -stock.adobe.com)

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