2045年には、日本の高齢者の認知症有病率が25%を超えるとする推計データが報告された。敦賀市立看護大学の中堀伸枝氏、富山大学の関根道和氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Geriatrics」に10月26日掲載された。同氏らは、「2045年はまだ先のことだと感じるかもしれないが、認知症抑制政策は効果発現に長い時間を要することから、早急な対策が必要」と述べている。

 この研究は、富山県認知症高齢者実態調査のデータを利用して行われた。同調査は1983年にスタートし、現在までに6回実施されている。調査対象は同県に居住する65歳以上の高齢者から無作為に抽出。一例として2014年の調査では、同県内の高齢者30万7,582人の0.5%に当たる1,537人に参加協力を依頼し、施設居住者を含む1,303人から同意を得た(同意率84.8%)。それ以前の調査では、高齢者人口の0.9~1%に協力を依頼し、同意率は90.0~96.8%の範囲だった。なお、富山県の人口高齢化は、日本の平均より若干早く進行しているという。

 認知症有病率の推計には、認知症の診断を精神科医が行うようになった1985年以降の5回のデータを用いた。認知症の診断には、まず保健師らが改訂長谷川式簡易知能評価スケールで評価し20点以下の場合、または認知機能低下の既往のある場合などに、精神科医が改めて診察し診断を確定した。

 認知症患者数・有病率の推計には、まず1985~2014年の5回の調査における性・年齢別認知症有病率を算出。線形回帰分析により、2045年までの推定有病率の推移を予測し、それに都道府県別の性・年齢別高齢者人口予測値を乗算して、認知症患者数の予測値を求めるという方法をとった。続いて、算出された認知症患者数を各都道府県の高齢者人口の予測値で除して、有病率の推移を予測した。

 その結果、2025年には地方を中心とした5県(富山、長野、島根、山口、高知)で、高齢者の認知症有病率が20%を超えると予測された。2030年になると全都道府県で有病率が20%を超え、2035年までに42道府県(埼玉、東京、神奈川、愛知、沖縄以外)で25%を超えると予測された。そして2045年には、東京を除く全ての道府県で認知症の有病率が25%を超え、さらに12県(青森、秋田、山形、福島、鳥取、島根、高知、大分、長崎、宮崎、熊本、鹿児島)では30%を超えると予測された。

 都道府県によって予測される認知症有病率に差が生じる原因は、主として高齢者人口の予測値の違いにあるという。特に80歳以上の高齢者人口の急増が予想されている道府県では、有病率の上昇がより速いと予測されるとのことだ。

 著者らは、本研究の限界点として、「富山県のデータを全国の都道府県に外挿可能か」という点を挙げている。ただし、同県の認知症有病率は久山町研究の報告と大きな差がないことから、「結果が大きく外れている可能性は低いのではないか」としている。その上で、「都道府県別に認知症患者数を予測した研究はほとんどなく、本研究の結果は、地域ごとの認知症対策を進めるための重要な情報となり得る。2045年までに高齢者の認知症有病率は25%以上になると見込まれ、早急な対策が必要だ」と結論付けている。

[HealthDay News 2021年12月13日]

Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(タイトル部のImage:f11photo -stock.adobe.com)