デンソーテンは、脳波や心拍波形に基づく感情推定モデルを構築した。心理学(心の働き)ではなく、脳や心臓の働きと感情との関係による医学的アプローチ(身体の働き)による独自の感情モデルだとする。

 脳波センサーや心拍センサーといった複数の生体センサーを活用する。これにより、例えば、自動車を運転している人の感情を見える化する。運転中にその人の感情と交通や天気といった周囲の状況や店舗など、クラウドサーバーに蓄積されている様々な情報を組み合わせ、状況ごとに最適なサービスを提供できるようになる。具体的には、渋滞でイライラしている時には多少回り道になってもスムーズに走れるルートを提案するなど、安心・安全な運転に貢献するサービス提供が考えられるという。

 教習所で練習中の際には、苦手な運転とその時の感情を客観的に知ることができ、効率的な練習につながる。他にも、スポーツ選手の練習中や試合直前の感情を推定することで、より効果的なメンタルトレーニングに生かせるとしている。

出所:プレスリリース
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 従来の感情モデルとしては、ラッセル円環モデルという心理学モデルがある。縦軸にActivation(活性度)、横軸にPleasant(快適度)から成る2軸平面上に、楽しい、リラックス、悲しみ、退屈、怒りなどの感情を円環上に配置するものである。これに対して脳波や心拍波形などの生体信号から、活性度、快適度を算出して感情を推定する方式は、既に幾つか提案されている。今回は、感情と脳や心臓の働きに基づいて独自の感情モデルを活用した感情推定技術を開発した。

 推定性能は8割程度とする。これは、複数の被験者に、楽しい、悲しいなどの感情をひきだす映像(感情数46、総時間12886秒)を視聴してもらい、80%の時間で視聴中に被験者が感じた感情の位置と新感情モデルでの推定位置が一致したことを確認したもの。

 今回の技術は、「情報処理学会 第197回ヒューマンコンピュータインタラクション研究会、"医学的エビデンスに基づく新たな感情推定モデルの提案"」(2022年3月14日、国士舘大学で開催)で発表する。


(タイトル部のImage:monsitj -stock.adobe.com)