理化学研究所(理研)と昭和大学の共同研究グループは、超音波検査に人工知能(AI)技術を適用する上で、AIの判定根拠を可視化して検査者の診断を支援する新技術を開発した。胎児心臓超音波スクリーニングにおける、AIを活用した超音波画像診断支援技術の臨床応用への貢献が期待できる研究成果だとしている。今回の研究は、科学雑誌『Biomedicines』オンライン版(2月25日付)に掲載された。

 超音波検査は簡便性・非侵襲性・リアルタイム性に優れており、幅広い医学領域で使用されている。一方で、超音波検査ではプローブを手動走査して画像を取得するため、検査者間での診断技術の差異が大きいこと、また超音波画像は音響陰影(影)の影響を受けやすく、画質劣化および診断精度の低下につながることなど、特有の課題がある。これらの課題解決に向け、AIを活用した超音波画像診断支援技術の臨床応用が期待されている。

 共同研究グループは、2018年度より胎児心臓超音波スクリーニング診断支援に向けたAI基盤技術の研究開発に取り組んできた。しかし、今後の臨床応用へ向けた課題の一つとして、AIの判定根拠について十分な説明性が得られないこと(ブラックボックス問題)があった。臨床現場においてAI搭載医療機器を利用する医療従事者だけでなく、診断結果をもとにインフォームドコンセントを受ける患者の信頼を得るためにも、AIの説明可能性を向上させることが求められていた。

 今回、共同研究グループは、深層学習(ディープラーニング)を用いた新しい説明可能な表現「グラフチャート図」を開発。この技術により、超音波検査において異常所見の有無を判定する際に、判定の根拠となる診断部位の検出結果を従来手法よりも明確に提示することを可能にした。実際に検査者がグラフチャート図を参考にすることで、胎児心臓超音波スクリーニング精度が向上することも確認したとしている。

胎児心臓超音波スクリーニング動画へのグラフチャート図の適用(出所:プレスリリース、以下同)
胎児心臓超音波スクリーニング動画へのグラフチャート図の適用(出所:プレスリリース、以下同)
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説明可能AIを用いた胎児心臓超音波スクリーニング精度の向上
説明可能AIを用いた胎児心臓超音波スクリーニング精度の向上
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(タイトル部のImage:出所はプレスリリース)