自宅で安全かつ効果的に実施できる検査のリストに、乳がんと卵巣がんの遺伝子スクリーニングが新たに加わるかもしれない。乳がんや卵巣がんのリスク上昇に関連する遺伝子の検査を自宅で行う際、通常は検査前および/または検査後に行われる遺伝カウンセリングを受けなくても、検査を受ける女性の心理的苦痛は増加しないことが、米ワシントン大学婦人科腫瘍学のElizabeth Swisher氏らの研究で示された。この研究結果は、米国臨床腫瘍学会のバーチャルミーティング(ASCO 2020、5月29~31日)で発表された。

 BRCA1やBRCA2などの遺伝子に見られる変異は、乳がんや卵巣がんの発症リスク増加に関連することが知られている。こうした遺伝子変異の有無は遺伝子検査で確認できるが、検査を受ける際には通常、検査前に遺伝カウンセリングを受ける必要があり、検査後にも再びカウンセリングを受けて検査結果を聞くことが多い。こうした中、自宅でのBRCA遺伝子検査を提供するサービスも数多く登場しているが、その全てがカウンセリングまで提供しているわけではない。

 今回の研究は、米国内50州の医療機関で登録された3,822人の女性(平均年齢44歳、88%が白人)を対象に実施された。いずれの対象者も乳がんまたは卵巣がんの家族歴があるか、遺伝子変異のある家族がいることが確認されていた。また、対象者は、検査に先立ってがんリスクの検査に関する教育ビデオを視聴した。Swisher氏らは対象者を、検査の前と後にそれぞれカウンセリングを受ける群、検査前または検査後のどちらかのカウンセリングをスキップする群、両方のカウンセリングをスキップする群の4群に分けた。遺伝子検査は、採取した唾液を用いて、乳がんや卵巣がんに関連する19個の遺伝子変異の有無について行われた。

 その結果、対象者の7.2%(173人)に乳がんまたは卵巣がんに関連する遺伝子変異のあることが判明した。検査から3カ月後に強い心理的苦痛を抱えていた女性の割合は18%(318人)で、苦痛の程度は遺伝子検査前後の両方のカウンセリングをスキップした群で最も低かったが、苦痛を抱えている人の割合に有意な群間差は認められなかった。また、不安や抑うつ、遺伝子検査を受けたことに対する後悔の念に関しても、カウンセリングを受けているか否かで程度の違いは認められなかった。