新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の一つとして遠隔診療が注目されているが、感染抑止としてだけでなく、血糖管理の改善手段としても遠隔診療が役立つケースのあることを示唆する報告が2報、米国糖尿病学会(ADA)のバーチャルミーティング(ADA2020、6月12~16日)で発表された。

 一つ目の報告は、退役軍人保健局が、都市部から離れた遠隔地に居住する糖尿病患者の治療のために構築した在宅遠隔診療システムを用いた研究。同システムは既に一定の有効性が確認されているが、今回の研究では血糖管理状態が不良な患者での有効性を検討した。

 研究の対象は2017~2019年に全米の5地域で登録された糖尿病患者125人。男性が94%、白人が89%、地方の居住者が71%を占め、ベースラインのHbA1cは9.25%だった。血糖測定値などのデータは定期的にアップロードされ、遠隔地にいるスタッフが確認。その情報に基づいて電話による療養指導を行い、必要があれば薬剤の処方を変更した。

 その結果、6カ月間の介入終了時点でHbA1cは7.89%へと-1.36%、有意に改善していた(P<0.001)。この改善効果は、12カ月後(-1.22%)、18カ月後(-1.07%)にも継続して認められた(いずれもP<0.001)。

 上席著者である米ノースカロライナ州退役軍人ヘルスケアシステムのMatthew Crowley氏は、「糖尿病は一般的に多くの自己管理が求められる疾患だ」と説明し、プライマリケア医の対面診療が十分でない状況で、複雑なインスリン治療を患者自身が管理することの難しさを強調する。

 また同氏は今回の研究で、遠隔診療を受けた患者が薬剤管理を容易に行えるようになったことのほかに、良好な結果に貢献した別の因子が存在する可能性を指摘している。例えば、「多くの患者が、自分の健康状態を誰かが診てくれていると感じていて、『それだけで自己管理の意欲が湧く』とわれわれに話してくれた」と具体例を述べている。