血液中のニューロフィラメント軽鎖(NfL)と呼ばれるバイオマーカーの測定により、侵襲性の腰椎穿刺での検査と同程度の正確性で、脳震盪などの外傷性脳損傷(TBI)の重症度を予測できる可能性があるとする研究結果が、「Neurology」7月8日オンライン版に掲載された。

 研究論文の筆頭著者である米国立衛生研究所(NIH)臨床センターのPashtun Shahim氏は、「NfLは脳震盪やTBI診断の血液バイオマーカーとして非常に有望であることが分かった。血中NfLレベルの測定により、脳が損傷を受けた後、何年間も消耗性の症状を呈する可能性がある人を特定するのに役立つだけでなく、医師が患者の脳震盪やTBIのタイプに応じた治療を行う助けにもなる可能性がある」と述べている。

 NfLは、神経細胞が損傷・死滅した際に血液や脳脊髄液中に放出される、神経細胞に特有のタンパク質である。今回、Shahim氏らは、スウェーデンと米国で2011~2019年に登録した参加者を対象に、血液中のNfLレベルと、髄液中のNfLレベル、TBIの診断や重症度などとの関連を前向きに検討した。

 スウェーデンで登録された対象者は、プロのホッケー選手104人(年齢の中央値27歳)。このうち、45人は過去1週間以内に脳震盪を起こしており、31人は複数回にわたる脳震盪の既往があり、28人は脳震盪の既往または症状が1年以上なかった。また、アスリートではない健康な人14人を対照群とした。全ての対象者は、NfLレベルを測定する血液検査を受けたほか、複数回の脳震盪既往歴がある31人と対照群については、腰椎穿刺により脳脊髄液中のNfLレベルも測定された。