米CHI記念胸部・肺がんセンター胸部外科部門チーフのRob Headrick氏らは、2018年初頭に、肺がんリスクのある人が気軽に検診を受けられるようにするため、CTユニットを搭載した検診バスの運行を開始。開始から10カ月間に5人の肺がん患者を発見したほか、肺気腫などの肺疾患や中等度から重度の冠動脈疾患の発見にもつながったと、「Annals of Thoracic Surgery」7月13日号で報告した。

 2019年のある日、Irene Johnsonさんは、休暇を過ごしていた米テネシー州ベントンで「一息つこう(Breathe Easy)」と車体に書かれた大きな青いバスが停まっていることに気付いた。中にいた職員の話によると、このバスは、喫煙者が肺がん検診を受けるための移動式CTユニットだった。長年にわたり喫煙していたIreneさんと夫のKarlさんは、検診を受けることにした。その結果、夫婦ともに右側の肺の上部に影が見つかり、その後、それらはステージ1の肺がんであることが確認された。

 77歳のIreneさんは、その時のことを「天使が私をあの場所に連れて行ってくれたのではないかと思う」と振り返る。「早期の肺がんは自覚症状がないため、症状の有無だけで判断しようとすると手遅れになる可能性がある」と話している。

Breathe Easy Bus. (提供:CHI Memorial, Chattanooga)

 Headrick氏によると、このCTユニット搭載検診バスは、Johnson夫妻のような肺がんリスクのある人たちに気軽に検診を受けてもらうための取り組みの一つだという。製作に65万ドル(約6800万円)を費やしたこのバスは、運行開始から10カ月間でテネシー州東部の104施設を巡回し、548人に低線量CTスキャンによる肺がん検診を実施した。なお、導入から2年以上が経過した現在、検診は1カ月当たり平均100件ほど実施されている。