心不全患者の退院後の経過観察をテレヘルス(遠隔診療)で行っても、対面での診療と比べて、安全性は変わらないことが新たな研究から明らかになった。また、この研究では、心不全患者にバーチャル診療を選択できるようにしても、予約の無断キャンセルを減らすことにはつながらないことも示された。この研究結果は、米クリーブランド・クリニック傘下の心臓・血管・胸部研究所のW.H. Wilson Tang氏と、米ケース・ウェスタン・リザーヴ大学医学部のEiran Gorodeski氏らにより、米国心臓協会(AHA)が発行する「Circulation: Heart Failure」7月30日オンライン版に発表された。

 Tang氏らは「依然としてかなりの人が予約した診察日に現れない」として、心不全患者に対して、診察室に行かずに遠隔通信技術を利用して医師の診療を受ける選択肢を設けることで、無断キャンセル率が低下するかどうかを調べた。その結果、心不全患者の退院後2週間以内の受診は再入院リスクの低下に関連付けられているにもかかわらず、実際に、2週間以内に受診していた心不全患者の割合はわずか65%だった。

 また、診療予約の無断キャンセル率に関しては、バーチャル診療と対面診療とで有意差はなかったが、バーチャル診療が、対面診療と同程度に安全である可能性は示された。Tang氏は、「これは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって遠隔診療へのシフトが急速に進む中では、重要な結果だ」と指摘している。さらに、再入院率や救急外来の受診、死亡の頻度についても、バーチャル診療と対面診療の間に有意差は認められなかった。

 こうした結果についてTang氏は、「今回の研究では、バーチャル診療と対面診療の等価性が示され、バーチャル診療技術の導入は実行可能であり、安全性も比較的高いという安心が得られた」と評価する。

 また、Tang氏は、「対面かバーチャルかにかかわらず、心不全患者は、退院から間もない段階で医師とコミュニケーションを取ることが重要だ」としている。なぜなら、心不全患者では、患者が、退院後数週間以内に、新しい生活へスムーズに移行できているかどうかを、医師が確認する必要があるからだ。同氏は、「自宅に帰った患者は、食事の内容や飲む薬を変えてしまっている可能性がある。退院後は、入院中のように注意深く経過観察が行われるわけではない」と指摘した上で、「退院から1週間後の受診は、その患者が慎重な経過観察を必要とするのか、あるいは高頻度のフォローアップは不要であるかを判断する意思決定プロセスの機会となり得る」と説明している。