子どもの近視の進行抑制に、多焦点コンタクトレンズが有用である可能性を示した臨床試験の結果が明らかになった。試験を実施した米オハイオ州立大学眼科学のJeffrey Walline氏らによると、加入度数の高い多焦点コンタクトレンズを使用した子どもでは、単焦点のコンタクトレンズを使用した子どもと比べて、近視の進行が43%抑制されたという。詳細は「Journal of the American Medical Association(JAMA)」8月11日オンライン版に発表された。

 Walline氏によると、「コンタクトレンズの近用部の度数が強いほど調節機能が高まり、進行を遅らせることができる」という。そして今回の研究結果を踏まえ、近視の子どもを持つ親に対して「緑内障や網膜剥離などは近視もリスク因子の一つであり、それらの眼疾患を予防するため、多焦点コンタクトレンズの使用について眼科医に相談すべきだ」と述べている。

 近視は、眼球の前後の長さ「眼軸長」が長いことなどのために、眼球内に入った光が網膜まで届かず、網膜の手前で焦点を結んでしまうことで起こる。米マウントサイナイ眼科耳鼻科クリニックのDouglas Fredrick氏によると、「物を見る際に焦点を合わせようとする動きが眼に影響を与え、眼軸長が伸びてしまうと、以前は考えられていた。しかし、最近の研究では、眼内での光の焦点の結ばれ方が眼球の形成に影響を与えていることが分かってきた」という。

 多焦点コンタクトレンズは、レンズの中央部分は網膜で光の焦点が合うように設計されている。一方、レンズの辺縁部分に向かって加入度数が増して、網膜の手前でピントが合うようになっている。多焦点コンタクトレンズのこのような仕組みが眼軸長の伸長を抑制するように働く可能性が、これまでの研究で示唆されていた。

 こうした背景から実施されたのが、Walline氏らが報告した「BLINK試験」と呼ばれる臨床試験だ。Fredrick氏によると、この試験は近視の子どもを対象に多焦点コンタクトレンズの有用性を検証した、過去最大規模の臨床試験だという。