スマートウオッチで心筋梗塞を起こした人の命を救える日が来るかもしれない。その可能性を示唆する研究結果が「JAMA Cardiology」8月31日オンライン版に掲載された。

 マグナ・グラエキア大学(イタリア)のCiro Indolfi氏らが行ったこの研究では、心電図検査機能を搭載したスマートウオッチの精度は、標準的な心電図検査とほぼ同程度であることが示された。この結果から同氏は、「臨床で使われている標準的な心電図検査を、いつでも実施できる状況にあるとは限らない。それに対してこの方法を使えば、迅速かつ簡便に心電図変化を検出でき、状況によっては予後を改善させることができる可能性がある」との見方を示している。

 心電図検査は、胸痛を訴える患者が心筋梗塞を起こしているのかどうかを見極める際などに不可欠な検査だ。心電図のデータからは、心筋梗塞かどうかの判別だけでなく、心臓のどこに異常が起きているのかを特定することもできる。

 Indolfi氏らは、2019年4月~2020年1月に心筋梗塞が疑われる症状のために医療機関(単施設)を受診した患者81人を対象に、標準的な心電図(12誘導心電図)を基準としてスマートウオッチ(Apple Watch Series 4)による心電図変化の検出精度を比較検討した。対象者の平均年齢は66±10歳で、男性が78%、ST上昇型心筋梗塞が67%だった。またこの患者群以外に、健常者19人(42±21歳、男性32%)に対しても同様の検討を行った。

 スマートウオッチは12誘導心電図とは異なり単極誘導。この点を補うためにIndolfi氏らは、対象者の腕および胸腹部の合計9カ所にスマートウオッチを当てて心電図の波形データを収集し、それをスマートフォンにアップロードした。なお、米食品医薬品局(FDA)は、心電図測定機能を搭載したスマートウオッチを、不整脈の一種である心房細動を検出する機器として承認している。