心筋梗塞を経験した患者の多くは、「心筋梗塞発症から間もない段階でセックスを再開すると、心筋梗塞を再発してしまうのではないか」と不安を覚えている。しかし、心筋梗塞を発症してから数カ月以内に性生活を再開することは、むしろ、生存期間の延長につながる可能性があるとする研究結果が報告された。この研究は、テルアビブ大学(イスラエル)のYariv Gerber氏らが実施したもので、詳細は、「European Journal of Preventive Cardiology」9月22日オンライン版に発表された。

 この研究は、1992~93年に心筋梗塞で入院した、65歳以下で、セックスの機会がある495人の患者(年齢中央値53歳、90%が男性)を対象にしたもの。Gerber氏らは、入院中と退院後3〜6カ月の時点の2度にわたり、対象者に対して性生活に関するインタビューを行い、セックスの頻度に応じて、セックスを控えているか心筋梗塞発症前よりも頻度が減少した群(47%)と、セックスの頻度が心筋梗塞発症前と変わらないか増加した群(53%)の2群に分けた。

 中央値で22年間の追跡期間中に、211人(43%)の患者が死亡していた。解析の結果、心筋梗塞発症後6カ月間のセックスの頻度が以前と変わらないか増加した患者では、セックスを控えているか以前よりも減った患者と比べて、死亡リスクが35%低いことが明らかになった。また、こうしたセックスの頻度の維持または増加が予後に与える良い影響は、がんをはじめとする心血管疾患以外の疾患による死亡の減少によるところが大きかった。

 Gerber氏は、「性的関心や性的活動はウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態のこと)の指標である。心筋梗塞の発症後、早い段階でのセックスの再開は、健康で性機能に問題がなく、若々しくて活力に満ちた人間であるという自己認識の現れともいえる。このことは、より健康的な生活習慣にもつながり得る」と説明している。