ただ、今回の研究では、心筋梗塞発症後のセックス再開と、長期予後の改善の因果関係が示されたわけではなく、関連が認められたに過ぎない。Gerber氏らが説明するように、セックスは心拍数を増加させ、血圧を上昇させる運動の一種だ。高強度の運動は心筋梗塞を引き起こすことがあるが、日常的な身体活動は、長期的に見れば心疾患リスクを低減させると考えられている。セックスが心筋梗塞の引き金となる場合もあるが、定期的に運動している人では、そのリスクは低いことも明らかにされている。

 また、Gerber氏は、性生活を早期に再開できるということは、全般的な体調が回復しているサインであるとの考えも示し、「十分な体力が戻り、配偶者との関係が良好で、認知機能にも問題がないという因子が、患者の予後向上に寄与した可能性がある」と説明している。

 一方、この研究には関与していない米ノースウェル・ヘルス傘下のサンドラ・アトラス・バス心臓病院のGuy Mintz氏は「心筋梗塞発症後のセックスは危険だという昔からのタブーに異議を唱える研究結果だ」とコメント。ただし、この研究の対象者は、年齢の中央値が53歳と比較的若い上に、90%が男性患者であることから、「より高齢の患者や女性患者には、この結果が当てはまらない可能性がある」と指摘している。

 Mintz氏はまた、多くの患者にとっては、普段通りの性生活に戻ることで自尊心が高まり、健康増進や活力の向上につながるとの見解を示し、心筋梗塞の既往歴を有する患者に対して、性生活の再開について主治医と率直に話し合うよう助言している。

[HealthDay News 2020年9月23日]

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