ダンスを楽しむことが高齢者の転倒予防につながるかもしれない。その可能性を示す論文が、「JAMA Network Open」9月25日オンライン版に発表された。チューリッヒ大学(スイス)のMichèle Mattle氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、ダンスなどの身体活動と転倒リスクの低下に有意な関連が認められたという。

 高齢化が進行している先進国では、高齢者の転倒と骨折が増加している。65歳以上の地域住民の約3割が年に1回転倒し、80歳以上ではその割合が約5割に上るとの報告もある。また転倒を起こした場合、その5~7%が骨折を来すという。Mattle氏らは今回の研究で、頭を使いながら行う「ダンスベースの運動」(dance-based mind-motor activities)に着目し、そのような運動に転倒予防効果があるか否かを、これまでの報告を統合して解析した。

 文献検索に用いたデータベースは、PubMed、Embase、Cochrane Library、Web of Scienceなど。2018年2月18日までに発表された論文から、自立して生活している健康な高齢者を対象に、ダンスベースの運動と転倒の関連を検討した英語論文を検索した。転倒リスクを高める可能性のある、パーキンソン病や糖尿病の患者、認知機能が低下した高齢者を含む研究は除外した。

 なお、「ダンスベースの運動」とは、音楽や呼吸などのリズムに合わせて立位で行う運動と定義した。また、社会的交流も経験できる活動であることも必要条件とした。具体的には、太極拳や社交ダンス、フォークダンスなどは適格とし、ヨガは静的であるため対象外とした。

 これらの条件を満たす計29件のランダム化比較試験の論文が抽出された。研究が実施された地域は北米や欧州、アジア、南米など世界各地域に及び、対象者数は19~684人で、女性の割合が高かった。介入期間は6週間~12カ月で1回あたり35~120分、多くは週に2~3回の介入を行っていた。

 メタ解析の結果、ダンスベースの運動は転倒リスクの有意な低下と関連していた〔リスク比(RR)0.63、95%信頼区間0.49~0.80。発生率比(IRR)0.69、95%信頼区間0.53~0.89〕。Mattle氏は、「結果には一貫性が認められ、われわれは良い意味で驚いた」と述べている。