スーパーマーケット(以下、スーパー)で糖分の多い食品の販売促進を制限することにより、店の利益に影響を及ぼすことなく、公衆衛生を改善できる可能性があるとする研究結果を、モナッシュ大学(オーストラリア)准教授のJulie Brimblecombe氏らが、「The Lancet Planetary Health」10月号に発表した。

 この研究は、オーストラリアの農村地域にあるスーパー20店舗を対象にしたもの。研究チームは、対象店舗の半数を、12週間にわたり販売促進に関して介入を行う群(介入群)に、残りの半数を、通常通りの販売を行う群(対照群)に割り付け、砂糖入りの飲料や食品の販売促進制限が、食品や飲料の購買量や店の営業成績に与える影響を検討した。

 介入対象となった食品は、砂糖入り飲料〔ソフトドリンク(アルコールを含まない炭酸飲料、清涼飲料水など)、フルーツジュース他〕、砂糖を使った菓子類やその他の甘味類、テーブルシュガー(主にグラニュー糖)、甘いビスケット類などである。これらを対象に、特売の制限、ポスターでの宣伝の禁止、人通りの多い通路や棚の両端、売り台への陳列の取りやめ、砂糖入り飲料用冷蔵スペースの削減、冷蔵スペースでの600mL以上のソフトドリンクの販売中止、水など健康的な飲料の販売促進、ソフトドリンクの砂糖含有量のリスト表示、などの介入を行った。

 その結果、介入群では、砂糖入りの食品や飲料中の遊離糖類(食品や飲料に添加される糖類や、蜂蜜、シロップ、果汁などに天然に存在する糖類)の量が2.8%減少したことが明らかになった。これは、砂糖の量に換算すると、約1.8トンに相当するという。介入対象となった砂糖入り飲料の販売量は8.4%減少し、遊離糖類量は6.8%減少した。特に、ソフトドリンクの販売量は13.2%減、遊離糖類量は13.4%減と減少の幅が大きかった。さらに、菓子類に含まれる遊離糖類量は7.5%の減少であった。

 一方、テーブルシュガーと甘いビスケット類の売上は、統計的に有意な減少が認められなかった。この原因としてBrimblecombe氏らは、これらの商品はもともと、店内の一番目立つ場所に陳列されることはあまりなく、そのため、衝動買いの対象となる可能性も低いためだと推測している。

 売上総利益で見ると、ソフトドリンクや砂糖菓子の購買減少が目立ったものの、介入により業績がマイナスの影響を受けることはなかった。