新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、人々の生活スタイルは大きく変わった。買い物や教育、仕事のオンライン化が進み、定期的な通院を遠隔医療に切り替えて受診している人も少なくない。ただ、こうした遠隔医療普及の恩恵を受けることができない人も存在する。

 米ベイラー医科大学のSalim Virani氏らは、米疾病対策センター(CDC)の行動リスク因子監視システム(BRFSS)のデータを用いて、慢性疾患患者のインターネット利用環境を解析した。結果の詳細は、「Diabetes Care」11月2日オンライン版に掲載された。

 2016~2017年のBRFSSには91万655人が回答しており、37%が45歳以上、51%が女性であり、人種/民族は、63%が白人、12%が黒人、17%がヒスパニックだった。調査項目の1つに、「過去30日間にインターネットを利用する機会はあったか」という項目が含まれていた。この質問に「はい」と回答した人の割合は84%であり、若年で教育歴が長く、定職があって医療保険に加入している白人の割合が高かった。

 インターネット利用率に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、教育歴、就業状況、使用言語、収入、居住地域)で調整し、糖尿病または高血圧の有無でネット利用率を比較すると、以下のような結果が得られた。なお、各疾患の有無は自己申告に基づくもの。

 まず、糖尿病患者のネット利用率は65%で、糖尿病でない人の86%に対して、調整オッズ比は(aOR)0.89(95%信頼区間0.85~0.93)であった。高血圧患者のネット利用率は74%で、高血圧でない人の89%に対しaOR0.99(同0.94~1.04)であった。人種/民族別に見た高血圧または糖尿病の患者のネット利用率は、白人77%、黒人62%、ヒスパニック56%であり、白人に比較し黒人はaOR0.49(同0.44~0.53)、ヒスパニックはaOR0.58(同0.51~0.66)であった。

 この結果からVirani氏は、「既に存在する医療格差が遠隔医療の普及によって、さらに拡大しかねない。慢性疾患患者が十分な継続治療を受けられなくなり、予後の悪化につながることも考えられる」と述べている。同氏によると、「マイノリティーの一部がCOVID-19パンデミックの影響を強く受けていることは既に分かっていた」という。しかし今回の調査で、慢性疾患患者はネット利用環境を持たない割合が高いことが分かり、「彼らは三重の苦しみを負いかねない」と指摘している。