オンラインでのマインドフルネスを、がん患者の心理的苦痛を除くために応用する開発が進んでいる。オランダのラドバウド医科大学などの研究グループが2020年10月、医療情報の専門誌である『Journal of Internet Medical Research』にこれまでの研究開発について報告した。

より長期で見るとオンラインの効果が高いと研究グループ

 がん患者の3人に1人が、強い心理的苦痛を経験していると言われている。マインドフルネスに基づく介入は、これらの心理的苦痛の軽減に有効であるとの研究結果が出ている。ただし、苦痛を感じている全てのがん患者が、通常の対面式のマインドフルネス認知療法(MBCT)に参加できるわけではない。

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 そこで、新たな選択肢となるがオンラインでのマインドフルネス認知療法(eMBCT)だ。いつでも利用することができ、がん患者の身体的痛みや疲労の状況に合わせ、自由に利用できる利点がある。

 研究グループは、がん患者を対象としたMBCTとeMBCTの比較を進めた。eMBCTの内容は、自己管理やコミュニケーションなどのテーマを設定し、1週間以内の中で瞑想の練習や課題を進め、さらに、腫瘍心理学専門のセラピストからのフィードバックを受けるというもの。このセッションを繰り返すことで、がんの心理的な苦痛を軽くしていく。

 これまでに分かってきたのは、がん患者がeMBCTを利用することで、MBCTを受けた場合と比べて、短期的に見ると心理的苦痛が同程度に軽減するということ。さらに、より長期の9カ月間で見ると、eMBCTの効果がMBCTよりも大きかったという。

パートナーや友人のサポートも有効と指摘

 研究グループは、eMBCTを受けた125人について、利用率と効果の関係を詳しく分析した。参加者の約9割は女性、全体の約6割は乳がん患者で、eMBCTを使い9週間にわたって瞑想などを進めた。

 その結果として判明したのは、利用率が高いほどがんの心理的な負担が軽くなるということ。eMBCTを受けることで利用者は、非利用者よりも心理的な負担が軽くなっており、メンタルもポジティブな改善が見られた。感情的、心理的な健康の改善を達成できていたという。

 一方で、利用率を高めることが課題であることもはっきりしたという。実際、利用率は約半数にとどまった。非利用者では再発の恐怖心が高く、薬剤の服用継続への意識が低くなるほか、病気と向き合おうとしないために、eMBCTの利用に後ろ向きになる側面があったとしている。今後、利用率を高める工夫が求められると研究グループは説明する。

 医師との対話のほか、パートナーや友人のサポートも有効ではないかと研究グループは指摘する。利用継続には、本人の性格も関係するようだ。利用しなくても、特に良心の呵責を感じないような場合には、自己管理がしきれないと見られ、プログラムを完遂できる人が少なくなる。個別のフィードバックも重要だと研究グループは指摘する。


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