がん検診の受診を促し、がんの早期発見を実現する上でソーシャルメディア(SNS)の活用が有効かもしれない。こうした検証結果を、英ロンドン大学を中心とした研究グループが2020年11月に『Journal of Medical Internet Research』で発表した。

 研究グループは、MEDLINEなどの研究データベースから、がん検診や早期診断を促すソーシャルメディア活用に関する論文を抽出。ソーシャルメディアの利用実態や有効性についての情報を調べた。具体的には、米国、カナダ、英国を中心とした23の研究論文を抽出。Twitter、Facebook、YouTube、Instagram、SnapChatなどの効果を検証した。

イメージ画像(出所:Getty Images)

 ソーシャルメディアによる反響は、ユーザーとの初期の接点づくりと、実際にがん検診への参加につながるエンゲージメントという面から評価した。初期の接点づくりとしての反響は、コンテンツへの返信から見た「インサイト(insight)」、コンテンツ閲覧から見た「エクスポージャー(exposure)」、ページへのいいね数から見た「リーチ(reach)」の程度で評価。

 がん検診の受診につながる反響は、3段階の「エンゲージメント(engagement)」として見た。エンゲージメントは「低レベル」「中レベル」「高レベル」に分け、それぞれ「投稿へのいいね」「関連の投稿やリツイート数」「がん検診の受診」で評価した。

地域やグループを絞った手法が反響

 その結果として見えてきたのは、やり方次第で意識の向上や受診促進につながりそうだという結果だ。初期の接点づくりには、ソーシャルメディアの利用が広く受け入れられる可能性が示されていると研究グループは説明する。例えば、マンモグラフィの情報発信を許容すると回答した女性は88%に上っていた。YouTubeのキャンペーンは女性よりも男性、Facebookは男性よりも女性に情報が届きやすいといった性差がある可能性も示された。

 エンゲージメントの成果では、乳がんに関するキャンペーンのエンゲージメントが高いという結果が見られた。他のがんのキャンペーンをしている期間も、乳がんのソーシャルメディアでの言及が多くなるなど、波及効果があった。逆に、大腸がんは、乳がんのほか、前立腺がん、子宮頸がんと比べても注目されづらいという結果も出た。

 前述の「高レベル」のエンゲージメントについて成果を上げていたのは、標的グループを絞ったキャンペーン、および地域を限定したキャンペーンである。がん症状や検診についての知識の改善のほか、検診受診の意向を引き上げる効果が報告された。検診受診の出席率を増やす効果を報告した研究もあった。

 研究グループは、キャンペーンで適用された行動変容の技法を類型化。「信頼できる情報源からの発信」「健康への影響」「いかに行動するかの指導」を3本柱に挙げる。特に、キーオピニオンリーダーから、がん検診の意義やそのために求められる行動を発信する効果が高いとしている。

(タイトル部のImage:Romolo Tavani -stock.adobe.com)