自殺や抑うつなど、メンタルヘルスに関連するテーマを扱ったラップソングが増えている実態が報告された。米ノースカロライナ大学チャペルヒル校ジャーナリズム・メディア学のAlex Kresovich氏らが、過去20年間にヒットしたラップソングの歌詞を調べた結果であり、詳細は「JAMA Pediatrics」に12月7日掲載された。

 「私自身も含めて長年のラップファンはこのような変化に気付いていた。米国では2000年代後半から若者の自殺率が漸増していることを考えると、この変化は納得できる」とKresovich氏は語っている。具体的には、自殺に関する歌詞が含まれているラップソングの割合が、1998年には0%だったが2018年には12%に増えていた。また、同期間に抑うつに関する歌詞が含まれる曲の割合は、16%から32%へと上昇していた。

 Kresovich氏らの研究は、1998年、2003年、2008年、2013年、2018年に発表された米国人アーティストによる125曲のラップソングの歌詞を分析するというもの。アーティストの平均年齢は28.2±4.5歳で、78%が黒人だった。解析対象とした125曲の28%に不安に関する歌詞が含まれ、22%に抑うつに関する歌詞が含まれていた。また、自殺について触れている曲の割合は6%だった。「自殺や抑うつに触れている曲や、精神的な葛藤の隠喩が含まれている曲の割合は、統計学的に有意に上昇している」と同氏は述べている。なお、精神的な葛藤を表現した歌詞とは、「瀬戸際に追い込まれた(being pushed to the edge)」や「頭がおかしくなる(losing my mind)」などだという。