瞑想とヨガを組み合わせたマインドフルネスをベースとするストレス低減法(MBSR)が、片頭痛の軽減に有効である可能性を示す臨床試験の結果が明らかになった。同試験では、片頭痛患者の抑うつや障害の軽減にMBSRが有効であることが示されたほか、MBSRによる生活の質(QOL)の向上も認められたという。米ウェイク・フォレスト大学医学部のRebecca Wells氏らが実施したこの研究の詳細は、「JAMA Internal Medicine」に12月14日掲載された。

 米片頭痛研究財団(Migraine Research Foundation)は、世界の片頭痛有病者数を10億人と推定している。片頭痛患者では強い頭痛だけでなく、吐き気や視覚障害、光過敏や音過敏が生じることが少なくない。

 片頭痛が頻繁に生じる患者では、薬物療法で片頭痛の症状を予防できる可能性があるが、必ずしも効果が得られるわけではない。そのため、オピオイド系鎮痛薬を使用する患者もいる。オピオイド系鎮痛薬は、脳や脊髄に作用して痛みを抑える作用があり、効果は強いが依存性があるため、片頭痛に対する使用は推奨されていない。その一方で、副作用が原因で片頭痛の治療薬の使用を中止せざるを得ない患者もいるという。

 MBSRは1970年代に開発された8週間のプログラムで、瞑想と負担の少ないヨガのポーズで構成されている。その最終的な目的は、身体の痛みを含めたストレスへの反応を変化させることにある。今回の研究報告に関する論評の著者で、米カイザー・パーマネンテ・ワシントン・ヘルス研究所のDaniel Cherkin氏は、自身の研究で慢性腰痛に対するMBSRの有効性を確認している。しかし、片頭痛患者にもMBSRが良い影響を与えるのかどうかについては、十分な検討がなされていなかった。

 Wells氏は、「こうした状況から、非薬物療法を含めて新たな治療選択肢が望まれている」と説明している。そこで同氏らが実施したのが今回の臨床試験だ。同試験では、1カ月当たりの片頭痛発作が起きる日数が4~20日(平均7.3日)の患者89人(平均年齢43.9歳、女性82人)を、8週間のMBSRプログラムを行う群(MBSR群)、または片頭痛に関する教育を行う群(教育群)のいずれかに半数ずつランダムに割り付けた。なお、いずれの群も標準的な薬物療法は継続した。

 その結果、12週間後には両群で片頭痛発作が起きる日数が、1カ月当たり2日間程度減っていた(MBSR群で−1.6日、教育群で−2日。ただ、MBSR群ではそれ以外にも、抑うつ症状や片頭痛に起因する障害の程度、QOL、自己効力感、抑うつスコアの改善度が、教育群よりも高かった。また、MBSR群は教育群に比べて、実験的に誘発した痛みに対して感じる強度や不快感の程度も低かった。Wells氏は長期的な効果に関してはさらなる研究で検証する必要があるとしているが、MBSR群におけるこれらの効果は9カ月間にわたって持続して認められたという。

 Cherkin氏は、「マインドフルネスにより痛みが消失するわけではない。そうではなく、マインドフルネスにより、痛みに対する普段の反応の仕方を意識できるようになり、そこから痛みや痛みの意味に対する捉え方を変えることが可能になるのだ」と話す。

 Wells氏は、MBSRが片頭痛の症状を改善する正確な機序は不明だとしている。その上で、「人々に“今、この瞬間”に注意を向けることを促すMBSRの原理が効果の背景にあるのではないか」との見解を示している。一方、Cherkin氏はMBSRについて、「他者から与えられた治療に頼るのではなく、患者自身が関わることのできる選択肢となる。そのことが患者に力を与えている可能性がある」と指摘している。

[HealthDay News 2020年12月17日]

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