電子聴診器で記録された呼吸音のデータを解析することで、肺や気管などの呼吸器疾患の有無を高精度で自動検出できるアルゴリズムが開発された。インドのウエストベンガル州立大学、米国サウスダコタ大学などの研究グループが、医療機器の専門誌『Journal of Medical Systems』で2021年1月に報告した。

呼吸音の「音色」に注目して病気を区別

 胸部で聴取される呼吸音は、昔ながらの耳に当てる聴診器を使って直接聞くばかりではない。デジタル記録をする電子聴診器の技術開発が進んでいる。そのため、機械的に解析するために利用することも可能だ。

 実際、解析を可能にするアルゴリズムの開発競争が国際的に活発になりつつある。2017年には生体情報に関連する国際団体ICBHIから、126人分の920の呼吸音データベースが公開された。健康な人と不健康な人の特定も済んだデータになっている。

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 このたび研究グループは、呼吸音の音色に注目して、その特徴から感染症の可能性を検出できないかを検証した。病気になると、正常な呼吸音にかぶさるように「ぜえぜえ」という喘鳴のほか、20ミリ秒未満の不連続音(ラッセル音、ラ音と呼ばれる)が混ざる。捻髪音や水泡音とも呼ばれるが、こうした特徴から、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸器感染症などの可能性を推定できる。

 解析する上での課題の一つは、記録されたデータの中に様々な雑音のデータも混ざっていることだ。例えば、衣服の擦れる音のような雑音のデータも入ってくる。さらに音の持っている要素も様々で、音の大きさや高さ、音色などがある。

 呼吸音の持つどの要素を使うかで、解析アルゴリズムの精度は大きく左右される。要素のうち音色については、さまざまな解析の仕方が考えられており、どのように活用するかも課題になっている。