患者がパソコンやスマートフォンなどで健康情報を報告する「ePRO」。この仕組みを利用することで、がん治療の過程で患者が経験し得る症状の悪化や苦痛を取り除くことができることがこのたび報告された。

 英国リード大学などの研究グループが、がんの専門誌『Journal of Clinical Oncology』で2021年1月に発表した。明らかにしたのは、最終段階の臨床試験である「フェーズ3」の結果であり、今後実用化が進む可能性もある。

増えるがんサバイバー

 がんの治療選択肢は多様になり、がんの生存率も向上して、がんサバイバーは増えている。こうした変化に伴って長期にわたるフォローアップやモニタリングの重要性が高まっている。

イメージ画像(出所:Getty Images)
イメージ画像(出所:Getty Images)

 がん患者は多くの症状を経験し、がんそのものに加えて、化学療法の副作用なども想定される。中には、緊急入院を要するものもあり、QOLを下げている。こうした状況を逐次チェックして、問題があれば受診を促すなどの対応を取るための安全かつ効果的な対応になり得るのが遠隔モニタリングだ。わざわざ患者に来院を促したり、対面で直接会ったりしなくても、症状の管理を容易にサポートできる。

 今回、研究グループは大腸がん、乳がん、生殖器のがんの患者を対象に、自宅からオンラインで症状を報告してもらう「ePRO」の意義を検証した。毎週オンラインで症状の情報を提供してもらい、自動的に状態に応じたアドバイスをしたり、受診を促したりできるシステムを用いた。研究には690人の患者、55人の医療従事者が参加、システムを使用した18週間でがんの症状管理や身体的な苦痛への効果などを調べた。