ふくらはぎに装着したスマホで歩行動作のデータを取得し、それを機械学習によって分析して遠隔リハビリを実現する。そんなシステムを、イタリア、ローマ大学と中国汕頭大学などの研究グループが医療工学系の専門誌『Medical & Biological Engineering & Computing』で2021年1月に発表した。

歩行動作は情報の宝庫

 在宅医療が注目される中で、病後のリハビリも在宅で行うニーズが出てきている。脳卒中の回復後のほか、パーキンソン病や多発性硬化症などの神経疾患では、継続的なリハビリによって身体機能を回復させる必要がある。医療機関に受診するばかりではなく、日常生活の中で機能回復のためのリハビリは大切だ。

 そのときの課題は、リハビリ効果の判定である。リハビリ計画を立てるためには、身体機能を判定して、それに合わせていく必要がある。医療機関では、「モーションキャプチャシステム」により、患者の歩行動作をデータ化したり、筋電図を測定したりして、身体機能を評価する。装置が高額で設置や使用にスペースを要するので、在宅向きではない。

イメージ画像(出所:Getty Images)
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 研究グループが目指したのは、安価で場所を取らず、しかも、専門家を介さずに判定まで行えるスマホを使った仕組み。しかも、アクティブトラッカーや万歩計とは異なり、スマホで取得したデータを医師に頼らずに判定するところまでカバーするものだ。

 具体的には、ふくらはぎの部分に巻いたバンドのポケットにスマホを装着。そのまま歩くことで、歩行動作のデータを取得できる。歩行動作や下肢の角度がふくらはぎの筋肉と連動する。下肢の傾きを測定するジャイロスコープや脚の振りを測定する加速度計によりデータを取得。データ取得後にノイズ除去など処理された上で、機械学習により歩行状態の異常を判定する。

 今回、このシステムによってリハビリ効果を評価できるのかを検証した。健康な人のグループと、脳卒中後の患者グループを対象として、60種類の歩行動作をしてもらった。歩道動作のうち41種類は10秒間、19種類は20秒だ。こうして健康であるのか否かが正しく見極められるのかを調べた。