早発閉経に至った女性に多血小板血漿(PRP)と性腺刺激ホルモンであるゴナドトロピンを投与することで、生殖機能を取り戻せる可能性を示した臨床試験の結果が明らかになった。この治療法はまだ実験段階にあるが、閉経に至った女性の排卵を促し、妊娠可能な状態に戻せる可能性があるという。国立台湾大学産婦人科学のChao Chin Hsu氏らが実施したこの研究の詳細は、「Menopause」に3月29日発表された。

 閉経が近づくにつれて女性の卵巣機能は徐々に失われ、出生時には約200万個もあった原始卵胞の数は、閉経時には1,000個以下にまで減る。Hsu氏によると、これらの残った原始卵胞は通常、ゴナドトロピンなどのホルモンには反応しないという。

 女性の社会進出が進むにつれ、女性の出産年齢も上昇している。また、キャリアを優先して妊娠を遅らせているうちに、それが難しい状態に陥る女性の数も増えつつある。さらに、女性の12.2%は、45歳までに卵巣機能が失われる早発閉経を経験する。こうした女性が妊娠する方法は唯一、第三者から卵子を提供してもらうことだけだ。

 こうした中、今回Hsu氏らは、早発閉経の女性12人(平均年齢44.42±2.84歳)の卵巣に、PRPをゴナドトロピンとともに注入する治療を実施。その上で、卵巣での卵胞形成や、血清中の卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、およびエストラジオールの血清レベルを6カ月間追跡した。その結果、12人中11人の女性で月経が再開し、卵巣機能の回復が確認された。また、これら11人の女性に体外受精を行ったところ、1人が妊娠に至った。

 Hsu氏は、「われわれの研究では、この治療法を試した閉経女性のほとんどでエストラジオールの産生レベルが上昇し、再び卵胞の発育が見られるようになった」と言う。なお、卵巣機能が低下した女性に対するPRPの投与は、これまでにも試みられてきたが、実際に妊娠や出産に至る例は極めて少なかったという。

 Hsu氏らは、「今回の研究結果をきっかけに将来、早発閉経を経験した女性が自分の卵子を使った体外受精によって妊娠できるようになる日が来るかもしれない」と期待を寄せている。さらに、「この治療法は、閉経期の女性の骨粗鬆症や心血管疾患、認知症の予防にも有用である可能性がある。しかし、それについては今後さらなる研究で明らかにする必要がある」とも話している。

 一方、この試験には関与していない米レノックス・ヒル病院の産婦人科医のJennifer Wu氏は、確定的な結論を導き出すには試験の規模が小さすぎることを指摘。またこの研究では、「われわれが最も知りたい情報である、生児の出産率が明らかにされていない」としている。

 Wu氏は、「何らかの疾患や外傷が原因で卵巣予備能が低下した若い患者には、この治療法が有効である可能性がある」との見方を示しているが、より高齢の女性への治療効果については懐疑的だ。同氏は、「刺激を与えることで月経や卵胞の発育を促し卵子を得ることはできても、その年齢では卵子が正常ではない可能性がある。また、妊娠に至ったとしても、妊娠転帰が不良となる可能性もある」と指摘している。その上で、今後の課題について、「卵子が少ないことによる問題を抱えた、もう少し若い女性に対する治療効果について明らかにすべきだ」と話している。

[HealthDay News 2021年4月5日]

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