「オーガン・オン・チップ(organ-on-chip、チップ上の臓器)」。そんな技術の開発が進んでいる。オーストリアのウィーン工科大学が、生物工学の専門誌『Biofabrication』で2021年2月に発表した。

内部に血液が流れる流路を作り出す

 研究グループがこのほど開発したのは、内部に微小な血管を張り巡らせた3D細胞培養モデル。光学的な造形技術を用い、培養細胞の立体的な集合の内部に直径μm単位の血管を作製した。

 3Dでの細胞培養モデルは「バイオプリンティング」と呼ばれる印刷技術により進歩している。インクジェットプリンターの技術を用い、インクの代わりに細胞などを用いて、層状に重ねていく。ここに、内部に血液が流れる流路を作り出すのがオーガン・オン・チップだという。

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 この血管を作る手法として「光造形」と呼ばれる光学的な技術を用いた。紫外線によって樹脂を硬化させる方法が知られている。研究グループは、従来難しかった直径1μm程度のごく微小な血管の実現を目指した。通常は光の波長の関係で加工の精度に制約があるが、「2光子重合(2PP)」と呼ばれる技術で、高解像度で血管ができるかを検討。細胞の足場を作りながら、光造形により流路を設け、流路の中に細胞を配列した。

 こうして実現したのが、前述の3D細胞培養モデルである。研究グループは、血管構造の内部で細胞が増殖して、まさしく血管が形成されていると確認。従来にないサイズの血管を張り巡らせることに成功したとする。今後、臓器の機能や病気の理解をより推し進めることにつながりそうだ。


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