希少疾患の情報を患者家族や介護者、臨床医、研究者の間で共有して、教育やコミュニティー形成、研究に生かせるようにするプラットフォーム「Share4Rare」が開発された。ベルギーやスペインなどの国際研究グループが、研究基盤研究の専門誌『JMIR Formative Research』で2021年3月に発表した。

ワークショップでニーズを汲み取る

 希少疾患は頻度が低いとはいえ全世界で4億人以上が罹患すると推定されている。全体では6000~8000種類の希少疾患が存在すると見られ、多くは遺伝性疾患が占める。疾患ごと、患者ごとに状態は変わるために全容把握が難しい。希少疾患の症状は一般的な症状に近く、診断を受けるまでに5~30年もかかるのも珍しくなく、早期発見や治療につながる情報構築が求められていた。

イメージ画像(出所:Getty Images)
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 今回、全欧の研究推進を束ねる欧州委員会のHorizon2020プログラムの支援を受けた研究グループが、希少疾患の情報共有プラットフォームを作った。患者や患者グループのほか、介護者、臨床医、研究者と当事者は多いが、研究グループは大きく患者側と専門家側に大別してニーズを汲み上げた。

 患者側が重視していたのは、同じ境遇同士の情報交換と最新情報を得られる場だった。一方で、専門家が重視したのは、世界的な研究プロジェクト総覧と患者紹介のための専門家向けの教育だった。ニーズを踏まえ、「研究活動への貢献」「他者とのつながり」「情報の検索」などの優先事項を決めていった。

今後の展開も構想

 こうして構築されたのが「Share4Rare」というプラットフォームだ。研究グループは、集めた情報に基づいて、機能の柱として「教育」「つながる」「研究する」の3点を据えた。当事者が自ら情報を得て疾患理解を深められ、患者や介護者だけではなく、臨床医や研究者ともつながれるようにする。その上で、研究を進展させるプラットフォームを目指した。

 研究グループはプラットフォームを発展させて、希少疾患の研究プロジェクトに患者の視点が入ったり、希少疾患を抱える家族の孤立感やストレスレベルを軽くしたりするといった効果を狙うことを考えている。さらには、生活の質向上のためのコミュニティー意識を高めたり、患者と介護者が医療従事者からも学べる仮想空間を構築したりする動きにつなげることも想定している。


(タイトル部のImage:Romolo Tavani -stock.adobe.com)