たった一度の検査で50種類以上のがんを検出できる可能性を秘めた血液検査に関する最終結果が報告された。それによると、この複数のがんの早期発見検査(MCED検査)は、がんリスクの高い人々に対する多様ながんのスクリーニング検査として申し分のない精度であることが判明したという。米クリーブランド・クリニックのGlickman Urological & Kidney InstituteのEric Klein氏らによるこの研究の詳細は、「Annals of Oncology」に6月24日掲載された。

 MCED検査では、血液中のセルフリーDNA(cfDNA)と呼ばれるDNAの解析が行われる。cfDNAとは、血中に存在する、免疫により破壊された細胞やアポトーシス(プログラムされた細胞死)した細胞に由来する遊離DNAである。cfDNAは、健常者の血中にも存在するが、がん患者ではその濃度が上昇する。解析では、このcfDNAのメチル化パターンを、次世代シークエンス解析と人工知能(AI)を組み合わせて読み取る。DNAメチル化は遺伝子発現などに重要な役割を果たしており、DNAメチル化パターンの異常はがんの存在を示唆する。AIはさらに、がんの部位の予測も可能だという。検査結果は、血液サンプルが検査期間に到着してから10営業日以内に判明する。

 今回の研究報告は、MCED検査に関する前向き縦断症例対照研究〔Circulating Cell-free Genome Atlas(CCGA)study〕の3番目にして最後のサブスタディの結果である。試験では、がん患者2,823人と、がんのない1,254人(対照群)の総計4,077人を対象に、この検査の特異度や感度、がんのシグナルの発生起源の予測精度を調べた。

 その結果、この検査での全体的ながんのシグナル検出の感度(真陽性率)は、がんの種類とステージ(Ⅰ〜Ⅳ)を通じて51.5%であることが明らかになった。特異度(真陰性率)は99.5%であった。これは、対照群の中でのがんの誤検出率がわずか0.5%であったことを意味する。がんのステージごとの検査感度は、ステージⅠで16.8%、ステージⅡで40.4%、ステージⅢで77%、ステージⅣで90.1%であり、ステージが進むほど感度も高くなっていた。また、感度はがんの種類によっても異なっていた。具体的には、固形がんでは、スクリーニング検査ツールのないがん(食道がん、肝臓がん、膵臓がんなど)では65.6%、スクリーニング検査ツールのあるがん(乳がん、大腸がん、子宮頸がん、前立腺がんなど)では33.7%であり、悪性リンパ腫や骨髄腫などの血液がんでは55.1%であった。さらに、この検査により、がん患者の88.7%で、がんが存在する組織を特定することができた。

 Klein氏は、「がんによる負担を軽減するには、治療が成功しやすい早期にがんを発見することが非常に重要となる。今回の研究で得られた知見は、この血液検査を既存のスクリーニング検査と併用すれば、がんの検出方法、ひいては公衆衛生に非常に大きな影響を与え得ることを示唆している」と述べている。

 この研究報告を受けて、米国臨床腫瘍学会(ASCO)のチーフメディカルオフィサーであるJulie Gralow氏は、「わくわくする結果だ」と話しながらも、「ただし、がん死亡率の低下を最も見込める初期段階のがんに対する感度は低かった。この血液検査をがんの主要なスクリーニング検査手段とするには時期尚早だ」と指摘する。

 それでもGralow氏は、「極めて致命的ながんの大半には適切なスクリーニング検査の手段がない。従来の検査にこの血液検査を追加することで、そうしたがんを、これまでより簡単にかつ早期に発見できるようになるかもしれない」と期待を示している。

[HealthDay News 2021年6月25日]

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