在宅医療を受けている認知症患者では、常に同一の看護スタッフからケアを受けることで再入院リスクが低下する可能性のあることが新たな研究で明らかにされた。研究論文の筆頭著者である、米ニューヨーク大学(NYU)Rory Meyers看護大学のChenjuan Ma氏らによるこの研究結果は、「Medical Care」に6月23日掲載された。

 Ma氏は、「人口が高齢化し、可能な限り住み慣れた場所で年をとること(エイジング・イン・プレイス)を選択する高齢者が増えるにつれて、認知症患者の在宅医療に対する需要も急速に拡大することが予想される」と説明する。2018年には、米国の500万人以上のメディケア受益者が在宅医療を受けていたという。この数字の中には、アルツハイマー病などの認知症患者120万人が含まれている。

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 認知症患者は多くの場合、退院後に看護師を中心とする看護スタッフから在宅医療を受け始める。患者の再入院は、医療の質と安全性、および医療費に関わる大きな問題である。同氏らはこのことを踏まえ、同一の看護スタッフによる在宅医療により認知症患者の再入院を予防できるのか否かを調べることにした。

 Ma氏らは、非営利的な大規模在宅医療機関の2010年から2015年のデータを用いて、退院後から在宅医療を受けた高齢の認知症患者2万3,886人の在宅医療の一貫性や再入院について分析した。在宅医療の一貫性は、看護スタッフの人数と全訪問回数、および看護スタッフごとの訪問回数を基に算出した(高スコアほど一貫性の高いことを意味する)。

 データからは、対象者の4人に1人(約24%)が再入院していたことが判明した。再入院の原因として最も多かったのは、感染症、呼吸器系の疾患、心疾患であった。

 在宅医療の一貫性については、大きなばらつきがあった。対象者の8%は毎回違う看護スタッフからケアを受けていたのに対し、26%は常に同じ看護スタッフからケアを受けていた。また、訪問頻度が高いほど、または週単位の看護時間が長いほど、一貫性は低くなっていた。在宅医療の一貫性の高さに応じて対象者を3つの群に分けて分析したところ、最も一貫性の高かった群の患者は、一貫性が中等度または低かった群の患者に比べて、再入院のリスクが30〜33%低いことが明らかになった(調整オッズ比は順に、1.30、1.33)。

 Ma氏は、「同一の看護スタッフからのケアは、全ての在宅医療患者にとって有益だろうが、認知症患者にとっては特に重要になるかもしれない。常に同じ看護スタッフが接することで、認知症患者のその人に対する親しみや信頼が増し、それが患者とその家族の混乱を減らすことにつながるだろう」と述べている。

[HealthDay News 2021年6月29日]

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(タイトル部のImage:Romolo Tavani -stock.adobe.com)