ランニング中に精神的に疲れたときでも、音楽を聞くことで乗り切れる可能性があるとする研究結果が、英エディンバラ大学モーレイハウス教育・スポーツ学部のShaun Phillips氏らにより報告された。音楽を聞くことが精神疲労時の持久走の能力とパフォーマンスに及ぼす影響を検討したのは、この研究が初めてだという。研究の詳細は、「Journal of Human Sport and Exercise」に3月9日掲載された。

 Phillips氏は、「精神疲労は多くの人にとってよくあることで、運動を含めた日々のさまざまな活動に悪影響を及ぼす」と説明する。そこで同氏らは今回、運動中に音楽を聞く習慣のある18人(18〜30歳)を対象に、ランニングの能力に対する音楽の影響を2種類のテストで検討した。

 対象者にはまず、コンピューターを用いた30分間の認知テストを実施し、精神的な疲労状態を作り出した。その上で、1つ目のテスト(テスト1)では、普段から趣味でよく運動をする男性9人(平均年齢22±2.6歳)を対象に、全力走と軽いジョギングを交互に行うインターバル走を、2つ目のテスト(テスト2)では、ランニングを趣味とする9人(女性2人、男性7人、平均年齢21.1±1.2歳)を対象に、3マイル(約4.8キロ)のタイムトライアルを実施した。いずれのテストでも、対象者が自分で選曲した“やる気の出る曲”を聞いた場合と聞かなかった場合の双方が評価された。なお、対象者は試験開始時にも、認知テストを行わず、音楽も聞かない状態で、同様の走行テストを行った。

 テスト1でもテスト2でも、認知テストの実施後に精神疲労が大幅に増大していた。テスト1では、精神疲労があるときに音楽を聞くと、聞かない場合に比べて、インターバル走の能力が中等度に高まることが明らかになった。この結果は、精神疲労がない状態でも同じであった。またテスト2でも、精神疲労があるときでも、疲労がないときでも、自分で選んだ音楽を聞くことで、聞かない場合に比べてパフォーマンスがわずかながら向上することが判明した。

 このような結果についてPhillips氏らは、「この効果は、音楽を聞くと精神疲労が及ぼすネガティブな影響が打ち消され、努力の感じ方が変化することに起因する可能性がある」と結論付けている。その上で同氏は、「この知見は、やる気の出る音楽を聞くことが、持久走の能力や、精神疲労時のパフォーマンスを向上させるのに有用な戦略であることを示すものだ。これを利用して運動の質と効果を維持できる可能性がある」と述べている。

 なお、同大学では、ランニング中に聞く音楽が他の集団に及ぼす影響や、別の運動における音楽の効果などに関する研究が、継続して実施されているという。

[HealthDay News 2021年6月25日]

Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.

(タイトル部のImage:Romolo Tavani -stock.adobe.com)